第33期竜王戦第2局 感想戦
(続き――感想戦)
第33期 竜王戦 第2局「大盤解説PREMIUM」感想戦の感想です
現地初心者の私は大盤解説の会場で感想戦(簡易版)が観られるのだと何故か思い込んでいました。
これが!!! 大きな勘違いでありました!!
万松寺の方「PREMIUMの方は対局室にご案内いたします」
(え?!――ここじゃないの!! あのお部屋!! 重力がやばいんですよ!! 普通の人類は息できないんですよ!!)
促されて、また階段を上り―次の間に座ると、インタビューが開始されていました。
そこには、ハキハキとインタビューに答えられている羽生善治九段。
その背中を見つめながら豊島将之竜王の表情を観ます。
封じ手の時より、重力が軽い――それでも地球の3倍!!
ますますフットワーク軽く、取材陣のカメラマンの方が飛び跳ねられます。
(全員、桂馬!! 集音マイク持っている方は固定!! あれは香車だ!!)
何人――何十人はいらっしゃった。と、人数を数えている自分に封じ手の時より自分が冷静である事を認識します。朝の封じ手の時は、お寺で呼吸を止めるわけにはいかず――
全てを生命維持に使っていた局面がありました。
感想戦が始まります。
数手、進まれた後の阿吽の呼吸を観ました。
同時に、両対局者が正座を崩されたのです。
は!!――と意識を戻します。
そうだ!! 観なければ!!
お二人とも手か綺麗だ――感想戦の指し手を観た瞬間――また宇宙が見えた気がします。
夕刻も、視界を失うところでした。
危ない。危ない。
次の瞬間、視界が静止します。意識が銀河まで飛んでいました。
脇息に置かれた豊島将之竜王の手首と指を観てしまったのです!!
(あああ!! 細い!! 親子丼10杯召し上がってください!!)
自分の思考に脳内が埋め尽くされた瞬間。
豊島将之竜王の二の腕が目に入って、世界が再びフリーズします。
(あああ!! 細い!! 親子丼20杯召し上がってください!!)
音の世界としては。
ハキハキと話される羽生善治九段に対して、駒音で答えられる豊島将之竜王が記憶に残っています。
ああ――豊島将之竜王の感想戦を観ているのだと世界に引き戻されました。
朝のお二人はとても大きかったのですが(存在が)――感想戦では人間が直視しても視界を奪われない大きさでした。
間もなく、退室となりました。
(なんと美しい世界――)
退室する最後の瞬間、私は涙目でした。
ひたひたの目で、最後――何かを見なければ!!
(――潤んで見る対局室も、世界もまた美しい世界だ)
対局室後に靴を履き、短い階段を降りて、大きい息を吸ってトイレへ。トイレを済まして出ると、大盤解説の会場は打ち上げ会場への準備をされていました。スタッフの皆様にお礼を申し上げます。
荷物を持って階段を下ります。
最後の気持ちは――
(今日、観た、感じた全てを自分の将棋に活かしていこう)
たくさん手筋を教えて頂いた三昧堂七段、和田女流初段、青野九段、山崎八段、杉本八段、ありがとうございました。
最後にコロナ禍の中、大盤解説会に関わられた皆様、誠にありがとうございました。
(終)