【2022年上半期バズコスメ解説】バズコスメ分析からプロモーション設計に繋げる
■ note概要
本noteは、2022年6月に行った、MimiTV × Twitter Japanのウェビナーの書き起こし記事となります。美容商材のマーケティングに関わるメーカー、広告代理店で働く方が想定読者です。
トレンドの変化やプロモーションのヒントをお伝えしていきます。美容オタク=Twitterを起爆剤とするプロモーション戦略のアップデートに繋げていければと思います。
■ 2022年上半期バズコスメ分析徹底解説
MimiTVでは、半期毎にバズコスメ大賞を実施しています。
以下の画像は、MimiTVが抱えている美容オタクの方に投票していただいた、2022年上半期の中でバズって売れたと思う商品のランキングです。
MimiTVのベストコスメは、新商品とリニューアル品のみを大賞にしているのですが、こちらのバズコスメは、発売日問わず過去の全ての商品でランキングをつけています。
そのため、ベストコスメよりもバズコスメにランクインする方が難易度が高くなります。
MimiTVのウェビナーをいつも見てくださっている方の中にはお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、このランキングにデパコスはなかなか入って来づらくなってきています。また、並んでいる商品の約半分ほどはMimiTVが施策のお手伝いをさせていただいたものです。
ちなみに、2021年下半期(今から半年前)のバズコスメは以下の商品がランクインしていました。
バズったと言われている商品を分類しているので、今回も2022年上半期verで分類していきます。10アイテムを4つに分類しました。
① 期待を超える”製品力”型
② 成分×安心型
③ トレンド活用型
④ バズったブランドの新商品!型
先ほどの2022年上半期のバズコスメのランキングを分類すると以下の画像のようなかたちになります。
① 期待を超える” 製品力 ”型
美容オタクの力がとても発揮される領域です。美容オタクが効果を実感し、本音のクチコミが急速に拡大されたおかげで、ここに入っています。
製品力の高さは、効果を実感しやすい文脈にしないとクチコミでなかなか広がりません。今回はKANEBOの新しい日焼け止めや韓国コスメのTIRTIRのファンデーションが入ってきています。
また、韓国コスメが韓国コスメらしくないのが、この上半期の特徴かなと思います。1〜2年前までは、韓国コスメが好きな人から盛り上がるということが多かったのですが、クチコミを見ていると、TIRTIRのファンデーションが韓国のブランドだということに気が付いていない方も多いように感じます。製品がいいから好きというクチコミも多く見受けられます。
② 成分 × 安心型
ここ2年くらいは、成分インフルエンサーの発言がとても目立つようになってきていて”この成分が入っているものっていいよね”という文脈で語られることが多くなっています。
やはりその起点になっているのはTwitterの美容オタクです。
レチノール × ◯◯という、レチノールは美容オタクの中では当たり前になってきていて、製品 × 何か、という安心ケアの文脈も重要です。
③ トレンド活用型
SNSで皆さんが呟きやすいキーワードだったり、トレンドを詰め込んでいるもの。新しい見せ方や、既存のトレンドをおさえた文脈で訴求をすることで、話題が最大化しやすくなります。
例えば、今とても売れているKissのリップアーマーという製品や、IHADAのフェイスプロテクトパウダーは、要素が盛りだくさんです。特にIHADAのフェイスプロテクトパウダーは、SPF50かつ肌荒れしていても使える、ブルーライトカットができる、全然乾燥しないので話題になっています。
YOLUは、”夜の間にケアする”という文脈や”美容師さんがおすすめしている”、なおかつ欠品していることも相まって盛り上がっています。
④ バズったブランドの新商品!型
頻繁にSNSでバズっているブランドやファンが多いブランドの新商品です。
既存のファンが居るので、事前の盛り上がりが起こりやすく、美容オタクによる使用感や比較投稿によって、継続的で網羅性をもって拡散できています。
セザンヌのアイブロウパウダーは、今まで高価格帯の製品がメインだったモーヴ寄りなカラーが低価格で購入できると話題になりました。
&beは、半分は製品の魅力というところもあるのですが、SNSで話題になるブランドだからこそ、より盛り上がりやすい土壌ができています。SPFが高くて下地としてファンデーション要らずで使える、なおかつトーンアップというよりベージュっぽい色でツヤ肌というところが、&beの元々のファンの方に刺さりました。
【まとめ】2022年上半期のトレンドキーワード
この要素があるからバズる!というのはなかなか難しいのですが、22年上半期はこちらの4つに分類できると考えています。
ここからは、皆さまからよくいただく疑問について解説します。
一つ目は、「バズった化粧品って誰もが知っていて、みんな買っている」というイメージを持たれる方が多いのですが、誰がどこまで知っているのかを調査をとりました。
まず1つ目、「どの層まで認知しているのか?」
これだけ話題だからマス層までリーチしているはず!と思っている方は多いのではないのでしょうか。
以下画像は先ほど紹介した製品の認知率です。
調査の結果、マス層は認知をしていないパーセンテージがとても高く、美容オタクは自分で情報を調べていくので、「知らない」(画像内の水色のパーセンテージ)が少なくなります。
これだけSNSで話題になって店頭に売っていない商品でも、蓋を開けてみるとマス層やミーハー層はその製品自体を知らない、オーガニックリーチが届いていないということがわかります。
調査①:認知率のサマリー
バズったとしても、全体を見れば3割程度しか認知率がないのが現状です。特に人口の半分を占めているとも言われている、美容のマス層の認知率は2割程度。そのため、マス層の中の8割は知らないという結果になっています。
上記はバズコスメを受賞した某リップの認知率なのですが、マス層の8割はそのリップを知らないという結果も出ています。
2つ目は、バズったコスメを知っている人は、どうやって知ったの?」というところです。
実は、認知の経路で美容オタクが一番濃く集まっているのはTwitterです。InstagramやTikTokでバズった化粧品を紐解いてみると、Twitterでバズったから他のプラットフォームでバズるということがとても多いです。
以下の画像は、認知経路のメディアのグラフです。
共通してInstagram・Twitter・YouTubeの3大トップが認知経路になってます。
「何を見て購入しているのか?」の調査をとってもInstagram・Twitter・YouTubeの3つが上位であることは変わりません。
面白いのが、美容オタクで見てみると、認知経路メディアと購買参考メディアで比較すると、Twitter33%が36%に上がって、Instagramに関しては、49%が41%に下がっています。
それを踏まえて、美容オタクの傾向として、購買の時にTwitterを参考にする割合がとても増えています。
■ バズコスメ解説からみえる!2022年プロモーション活用
ここからは、
・ バズに似た売り上げ初速だしを出すにはどうすればいいのか?
・ 店頭POSを動かすための考え方や数字設計はできないのか?
という方に向けてヒントをお伝えしていきます。
チャプター1をふまえ、プロモーションのヒントを考察して、2022年下半期や2023年の計画に反映させます。
大前提・原則
MimiTVとしては3つで考えています。特に原則③が重要です。
① バズ3大フェーズの原則
バズは、そもそもどうやって広がっているのか?というところで、評判形成、話題化、評判定着の3つのステップでSNSを拡散しています。評判形成は、新商品であれば発売前のタイミングが多いですし、既存品のプロモーションであれば、ここを起点に広めていきたいという月、例えば6月であれば4〜5月が評判形成になります。
話題化は、「この商品すごくいいよね」「私も欲しい」という状態から、「買ってきた」「人気のあまり買えない」など、やっとこの辺りでマス層に広がっていくような状態です。
② イノベーター理論 × SNSの原則
人口の約半分がマス層で約3割がミーハー層、約2割が美容オタクとMimiTVは定義しています。
人口が多いマス層がどんどんPOSを動かしてくれているような割合が多いと思いきや、マス層は美容オタクやミーハー層が認めている製品や、みんなが使っている製品しかなかなか手を出さないです。
なので、ベスコス1位とかは下の層には効いたりします。
それを踏まえて、美容オタクを起点に情報や評判が普及していくケースが多かったりするので、美容オタクが認めてくれていないと、そもそも製品はなかなか売れていかないです。
そのため、上から下に評判が普及していくと考えています。
③ POS ≒ 好感認知の原則
なぜバズると売れるのか?それは、POSは好感認知と比例しやすいからだとMimiTVは考えています。UGCが広がると、なんか良さそう・この製品使ってみたい、という好感認知が上がりやすいと考えています。
大前提・原則③「 POS≒好感認知の原則」
ここがすごく重要で、現代においてPOSは何と比例するのか、それは認知、よりも好感認知と考えています。
好感認知はどうやって上げるかというと、UGCのリーチ数を転換率で表せると思っていて、なんか良さそう、が広がっているイメージをするための数式は、上記の画像になっています。
”なんか良さそう”の中身がとても大切です。
例えば、公式アカウントの発信を大量リーチさせまくる、キャンペーンの投稿がガンガン回っている、製品名だけガンガン回るなど、これはUGCではないんですよね。
この商品のここがよかった!使用したらこうなれた!など商品軸での声を出して拡散していくことが好感認知アップに寄与します。
なので、UGCのリーチ数と転換率を意識していく必要があります。
バズった後の状態イメージ
バズった後の状態イメージとしては、先ほど紹介した10個の製品で、4象限が上手く奇跡的に埋まった状態を考えていて、たくさんの人が”なんかいい”、と思っている、かつ、購入者によって、”私も買った・よかった・悪かった”という投稿の連鎖が起こっている状態。
ここがグルグル回る状態=バズったという状態です。
事前の期待投稿で勝手にオーガニックの投稿がバズって、それを見たインフルエンサー投稿が話題にしてくれて、これをみた人が買って、と回っている状態です。
これはすごく奇跡的なことで、勝手に起こってくれると、とてもラッキーです。
原則③の実例
原則③がしっかりハマっているのが、イニスフリーのレチノールです。
韓国で話題ということで、日本上陸前に美容オタク層の期待が上昇をして、その投稿がとてもはねました。
すると、成分インフルエンサーが、”新しいレチノール配合の商品が出たので検証します”のような発信をし、そしてそれを見たファンたちが買ってくれる。実際の購入者が買ってみてよかった、と発話するというのがグルグル回っている状態です。
もう1つはKissのリップアーマーです。
以下画像ではグラフに当てはめています。
落ちないリップが新しく出る、リップモンスターに続く話題のアイテムになりそう、買ってみたらすごくよかった、私も買ってきました、もう完売していて買えない、の4象限がグルグル回っている状態。
皆さんがバズらせたいとおっしゃっていることが多いのですが、オーガニックのバズ投稿(以下画像内ピンクのエリア)ばかりを意識されている方がとても多いと感じます。
この4象限を連鎖させる上では、いかにバズ投稿を生むのか、が重要だと思っている方がとても多いです。
オーガニックでのバズ投稿は、勝手にバズってくれたらラッキーなくらいの感覚です。
奇跡的なところに賭けるのではなく、SNS上で話題化してPOSを動かしていくには?の視点を持つことが重要です。
もったいないプロモーション例
もったいないプロモーションの例1つ目は、インフルエンサーの投稿が話題になったらいいな、と期待することです。インフルエンサーはPR投稿の施策ができますが、PR投稿だけだとなかなか話題が連鎖しない、リーチも届いていない、かつリアルな購入者の声ではないことがとても多いです。
未だにPR投稿を見てみると同じ文章が並んでいるということも…もったいないです。
もう1つ、ギフティングだけでも話題が連鎖しない状態です。
こちらもリーチ不足がとても目立ちます。
ギフティングをしまくって、その投稿がバズって拡散してくれたらいいな、と期待している施策が多く、こちらももったいない例のひとつです。
情報を出すだけではなく、拡散するところまで設計することが重要です。
(復習)大前提・原則
SNSの話題が店頭POSを動かす時に起きています。
以下画像のグレーのラインを引いている3箇所を考えています。
大切なのは、ここから何を考えていったらいいかというと、偶発的なバズに頼らない、ただ、SNSで話題が広がる余地を組み込んだ、好感認知を上げる戦略が必要になってきます。
ポイント
3つの壁をクリアするように、プロモーション設計を行うことを推奨します。
特に③が盲点になりやすいです。
① 継続性の壁
発売時だけに施策が集中してしまって、継続していない
発売前後に施策をバラすべきだと考えています。
情報感度の高い美容オタクが集まるTwitterを最初に対策し、発売前の情報解禁を工夫する必要もあります。
MimiTVがメディア運営していて面白いと思うのが、同じ情報でも、Twitterのユーザーは新作の情報が大好きなのですが、Instagramのユーザーは、新作の情報よりも、誰かが使った感想や美容メディアがまとめる◯選、みたいな情報が効果が高かったりします。
プラットフォーム毎に、どの時期にどのプラットフォームにしていくかも大事です。
② 網羅性の壁
Instagramだけ、TikTokだけに予算を全振りしてしまう
ここ半年くらいでこのパターンが多いなと思います。
特に初速に影響するTwitterの使い方を適当にしないのが大事です。
③ UGCリーチ数の壁
対策は打ったけど、トータルのUGCリーチ数が弱い
とにかくUGCの数を多く打ちたいというのは、2〜3年前のトレンドで、色々なプラットフォームで色々なクチコミを見せましょう、というところが多かったんですが、結局そのクチコミは検索してくれる人にしか届いていないので、クチコミ+広告配信をセットでプランニングしていく必要があります。
世界観のバナーや公式の動画では評判が広がったことにはなっていないので、製品がどういいのか、どう使った方がいいのか、発色はどうなのか、などの中身を伝えるものとは別物と考える必要があります。
プロモーション設計のイメージ
上記画像内でピンクのラインはUGC、ブルーのラインはUGCを拡散させていくADになっているのですが、このブルーの部分がごっそり抜けている方がとても多いです。
網羅性と継続性を両立したプロモーションを考えていく必要があります。
1、もしTwitterを何もしなかったらどうなるか…?
もしもTwitterを対策しないと、事前の評判や期待ができず、検索対策された他のブランドで離脱してしまう傾向にあります。
ごく稀にマス層の中で流行った全然知らないブランドがあったりするのですが、そこから逆流で美容オタクが好きになることは、ほぼないです。
なので、最初はTwitterにいる美容オタク、濃度の濃い美容オタクに認めてもらうことが重要です。
2、実際の予算配分は?
予算配分は、一軍・二軍・三軍で考えています。第一軍は、InstagramやTwitter。リーチボリュームが大きく、UGCの影響力が大きいからです。
3、公式のSNSアカウントでファンにリーチするのは重要?
答えはもちろん”重要”です。
しかし、MimiTVがメディアを運営していて分かるのですが、アルゴリズムがかなり厳しく、フォロワーにさえ情報が十分に届いていないです。ほぼ届いていないと思った方がいいくらいです。
公式アカウントはあくまで補助と割り切り、投資という観点では第三者の配信を、どういう風に見せていくか考えていく必要があります。
プロモーション実施後の成功イメージ
上記画像は先ほど見ていただいた4象限のプロモーション実施後の成功イメージです。バズらなかったとしても全象限にUGCがある状態を目指していきたいと思っています。もちろん仕掛けた中でバズ投稿がかなりの追い風になるのでラッキーです。
ここの事前の期待を、美容オタク層のギフティングで対策をしたり、UGC×SNS広告で、バズったと同じ状態を作る、SNS広告の第三者クチコミを拡散させていきます。
ほか、インフルエンサーの投稿はPR投稿で対策をして、ここも拡散のタイミングで第三者配信を用いてもいいと思います。
購入の投稿は、やはり製品が良くて自分に合っていて、投稿したいと思ってもらえたかがとても大事です。そのため、その他3象限を意識しておき、ここは生まれたらラッキーだなと思います。
Twitterバズ分析 × Instagramバズ分析を元にしたKPI設定例
上記画像は、MimiTVが推奨しているKPI設定の例です。バズったものと同じくらいのリーチ数や盛り上がりを作るには?というところから逆算し、過去にバズってきた化粧品の間をとった数値をお出ししています。
例えば、POSの動きを感じられるレベルのKPIとしては、月に100件以上Twitter上でクチコミの事前の期待や評判形成をしていた方が良い、だとか、話題の拡散・定着の時は、200万リーチ、300万リーチ、合わせて最低でも500万リーチあった方がいいというところを、UGCやUGCを拡散させる文脈でのKPI設定をしています。
また、「なにを伝えていくか」のキーワードも重要になってきます。
MImiTVは普段美容トレンドとSNSを常に追っているため、キーワード開発もとても得意としています。
SNSで話題が広がる余地を組み込みたい方はぜひ、ブランド・カテゴリ。商品・時期によって、文脈や強調すべきワードは異なるので、ご相談いただけると嬉しいです。
本noteのスライド資料やMimiTVの美容マーケティング支援サービスに興味がある方は以下よりお問い合わせください。