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私が彼と初めて待ちあわせをしたのは、小さな飲食店がひしめく地下街だった。カレーの香辛料の匂いがぷーんと立ちこめる中、出会った。 私が待ち合わせ時間にすこし遅れて到着したとき、彼は周りの風景からクッキリと浮いてみえた。まるで、人物だけ『切り貼り』したみたいに。 「もしや、70年代からタイムリープしてきたのでは?」 ちょっぴり古臭い顔立ちとノスタルジックな空気感が、彼を異質な存在に見せていた。出会って間もなく、お腹がゴロゴロ反応した。 「ちょっとお手洗いへ」 私は近くの