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落ちるESは一目でわかる

サービス企画関連の記事を日頃書いていますが、個人活動として進めている就活支援に関する以前書いた記事が、宣伝していないのに長きにわたり多くの人に読んでいただけているため、ESの書き方に特化した内容を共有させていただきます。前の記事も就活全体の心構えがわかるのでよかったらご参照ください。

これまでの実績

現在IT系大手の会社でサービス企画をする8年目社員です。就活時代60社以上受験し、100回以上面接を受けて、IT系大手の第一志望に内定しました。(多いことが良いことでは決してないのですが、数を経験したことで多くの気づきがありました) 会社で働き始めてからもOG訪問などを通して10人近く内定を取るまで支援し、最近では会社の学生面談サポート(採用権はありません)などもしています。
そんな私が就活で役に立つESの書き方をご共有します。

💡ESの意味 落ちるESは無駄がある

改めてESや面接は何のためにあるか。皆さんは何だと思いますか? 私なりの考えは、その人の人生をたった30分で理解するために必要なツールです。そうESではあなたの人生を凝縮してたった数百字にして伝えなくてはいけません。そう考えると、ESの中に1字でも無駄な言葉を入れる隙はありません。就活を終えてからもたくさんの人のESを見ましたが、受かる人と落ちてしまいそうだなと思う人はすぐに分かります。受かるESは無駄がないのです。

私なりの解釈ではありますが自己PRは過去から現在の自分を、志望動機は未来と今の自分を説明します。
具体的には下記の内容を説明する必要があります。

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自己PR:自分の強み+将来につながる自分の軸

志望動機:その軸の延長戦にある自分が成し遂げたいこと+それに向けて複数選択肢がある中で、その会社がベストだと思う理由

それでは自己PRから具体的に説明していきます。

✏️自己PR  大事なのはベクトルの強さ、向きのアピール

最初に分かりやすい例を挙げます。

テレビを見ていて子供の教育格差を感じたので、学校で教育免許をとりました。将来国連で子供の教育格差をなくす仕事がしたいです。

というのと、

海外ボランティアで子供の裕福の差によって過酷な労働を強いられている状況を目の当たりにしました。そのような状況下の子供を救うためクラウドファンディングで学校を3カ国に立ち上げました。その経験から国連で子供の教育格差をなくす仕事がしたいです。

この2つのESを見て貰えば一目瞭然でしょう。
1つめを読むと、この人絶対こんなことできないな、と思いませんか? やりたいこと(ベクトルの向き)とやった経験(ベクトルの強さ)が、将来成し遂げたいことに合っていないのです。逆に2つめは、この人ならできちゃうかも?と思うわけです。それは実際にこの人が肌身で感じた経験(ベクトルの向き)と将来やりたいことがマッチし、また過去の経験の実績から将来やりたいことを成し遂げるだけの行動力や強み(ベクトルの強さ)が垣間見えるからです。つまり自己PRでは将来やりたいことに向けた原体験(ベクトルの向き)と、それを実現するための力(ベクトルの強さ)があることを示す必要があります。

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余談
業界が絞れない大手病の就活生がよくやる、同じ自己PRと志望動機で様々な会社を応募することは、お勧めしません。業界や会社が大きく違えば、それに合うベクトルを説明する必要があるので自己PRや志望動機が異なってくるのです。そもそも当たり前ですが、自分の過去の経験から将来やりたいことが見えてくるので、様々な業界に出すことは自分自身の軸が見えていないのかなと思います。個人的なおすすめは近い領域をいくつか受ける、どうしても絞れない場合は領域を2つ程度に留め、それぞれに自己PRと志望動機を作るが良いと思います。

✏️自己PRの具体的な書き方

それでは具体的に自己PRの例を交えながら、何を書く必要があるのかを説明します。

(ある学生の自己PR例)
私の強みは、全体の方向性を考えて人に働きかける力です。ゼミ活動では、マーケティングについて三大学間で行われる研究発表会での優勝を目指し、6人チームで販促の研究をしていました。しかし中間発表において最下位を取り、また班員が辞めたことで、皆落ち込み、班が分裂しかけました。一緒に頑張ってきた班員が悔し涙するのを見て、私は「どうにか一致団結して優勝し、共に喜びたい」と思い、問題の原因を考えました。そして各々に話を聞き、一体感が欠けていることで個人間に努力の差が出ていると気付きました。そこから私がしたことは以下2つです。①情報の共有。まず始めにWEB上に日々のまとめを提示し始めました。しかしあまり見てもらえなかったので、交換日誌の形にし、「今日の名言」などの項目を取り入れて、全員が見てくれる仕組みを作りました。すると皆が楽しんで見て、成果を実感するようになり、一体感が生まれました。これにより個々が刺激され、努力差が無くなりましたが、個人の特性によって宿題の進み具合に差が出るようになりました。それが原因で班の雰囲気が悪化し始めたので、②個人の特性を理解し、仕事を振り分けることを提案しました。全員でする宿題と個人でするものに分けることで、一人一人が能力を活かして、生きいきと発言するようになりました。一体感は更に高まり、本番の発表では、3大学10チームの中で優勝し、喜びを共に分かち合うことが出来ました。

まず前半で感情が底辺に近い状況に、そこから改善をして良くなっていきます。しかしまた新たな課題を見つけ、改善します。それによって結果(数字で示す)を得ました。

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ここで見せているのは下記の内容です
・自分事化しPDCAを回して、現状を改善できる社会人として基礎力があること
・自分の強み「人に働きかけて前に進める力」があること
・入社後の働き方のイメージ(チームで仕事ができる感)
・将来やりたいことの種(後述します)
・全体を通して私と言う人間のベクトル★大事!

何より大事なのが、このベクトルの向き、強さになります。この人はこういう困った状況でも主体的に自分の強みを活かして目的を達成してくれそうだなと思わせること。そしてその強さがあればこの会社で通用しそう、自分が言う将来の目標を実現できそう、と示していきます。

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後半の志望動機ではこのベクトルの延長線上に行きたい会社があると説明していきます。

余談
面接官はたくさん伝えても覚えられないので、伝えたいことは1つに絞った方が良いです。強みはあれとこれとこれ、でと言っても覚えられないので、強みはこれ!(できればエピソードに印象的なことを入れる)と伝えると良いです。

✏️志望動機の目的と具体的な書き方

志望動機では下記の内容を説得します。

過去の出来事から自分のやりたいことがわかり、その夢を叶える上で、この会社で、会社に貢献しつつ実現するのがベストだと感じた。

大事なポイントは下記の通り
1. 過去の出来事から将来の夢への繋がり
2. 夢への選択肢は複数あるが、この会社がベストだと感じたという説得
3. 自分の夢を叶えるだけではなく、この会社にとっても自分が入ることはメリットがあると感じさせること

1つずつ説明します。

1.過去の出来事から将来の夢への繋がり

志望動機の例は会社情報が色濃く出るため割愛しますが、先の自己PRから下記のような繋がりを作っていました。

ゼミの活動においてネットワーク上に交換日誌を作り、自分達のつながりを見えるようにすることで、喜び合うことが出来ました。この経験からネットワーク上でつながりを可視化し実感させることで、より多くの人を幸せにするサービスを生み出したいと思いました。

つまり
交換日記→ITの世界でコミュニケーションサービスを実現したい

上記のように伝えることで、前半の話との整合性が生まれ、面接官に覚えやすくなります。
他の例だと、

海外ボランティアでチームワークを強化するためにサッカーボールを持っていって、多国籍のメンバーと仲良くなった

という自己PRをした人が、志望動機で、

自分は人をつなぐサッカーボールになりたい

とシステム系の会社を志望して話していました。このように面接官に自分の軸をわかりやすく伝えられるように、自己PRと志望動機は繋がりを考えた方が良いです。ESの文字数も面接の時間も限られているので、その中でどう他の人と差別化して、相対的に上位に印象付けるかを戦略的に考えて練り込む方が良いです。

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2. 夢への選択肢は複数あるが、この会社がベストだと感じたという説得

よくあるESの失敗で、「夢への実現方法がこの会社じゃなくても良さそう」というものがあります。
例えば、

海外に行って日本のブランド力が弱いと考えたので、あえて外資系コンサルティングで日本を外から見たい

という内容だと、外資系コンサルティングだとどこでも良いことになってしまいます。

外資系コンサルティングでも、オリンピックなど日本のイベントにも深く精通している会社

だとだいぶ絞れるかもしれません。

日本のイベントにも深く精通し、かつそういった企業数社にインターンとして参加した結果、肌身でこの会社が一番成長できると感じた

となるともうこの人の主観でベストなので、この会社がベストだというこの人の説得を否定することはできなくなります。
このように、なぜこの会社がその夢を実現する上でベストwayだと思ったのかを説得できないと、「それうちじゃなくてもできるよね?」と言われた時に、ぐぬぬ…となってしまいます。会社も意地悪をしたいわけではなく、会社の方向性とその人がやりたいことがマッチしていない人を雇ってしまうと、会社に入ってからその人が後悔したり、苦労したりしてしまうため、そういった悲しい状況を生まないよう、その人の方向性を必死で確認しているのです。
そのため、大丈夫、私はあなたの会社にマッチしているよ、ベストだと思っているし本当にベストだよ、と説明してあげましょう。

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余談
あなたに会社に入るのが夢です、というような内容を書いている人がたまにいるのですが、それが本音だとしても、相手の会社にとってみたら、会社に入って満足するような人だと困る、となるので書き方を気をつけましょう。会社は自分の夢に向かう1つの手段や道です。会社がゴールではありません。


3. 自分の夢を叶えるだけではなく、この会社にとっても自分が入ることはメリットがあると感じさせること

最後に、受ける会社にとってもメリットがあると伝えるのを忘れてしまう人がいるので、要注意です。

私は美味しいパンを生み出したい。この会社ならできそうだから、この会社に入りたい。

それだと、独りよがりな夢をなんでうちの会社が引き受けないといけないの?という感覚になってしまいます。

私は世界一のパンを生み出したい。これまでパンで行くつも賞をとってきて、あなたの会社のパンに関するノウハウを吸収すれば、あなたの会社が目指している世界に通用するパンを共に作り、自分の夢も叶えられるので、この会社に入りたい。

少し例がわかりにくいかもしれないですが、このように私という人間はあなたにとってもメリットがあり、私の入社は貴社にとってWinwinですよ。というニュアンスを伝えるのが良いです。自分がこの会社に入るのがベストであっても、その会社にとってメリットがなければ採用されないのです。当たり前ですが、気づけない人も多いのでこの点を踏まえてアピールしましょう。このWinwinは自己PRの強みが会社にとってもメリットがありそうだなと想像させられると説明しやすくなります。

💡書き方

内容は理解したけど書ける気がしない、という方におすすめの書き方をお伝えします。
ESを書くためには思い出す作業と、それを伝わりやすいように差異化する作業、洗練した言葉で伝わりやすいようにまとめる作業があります。
まずは自分がやってきた事を棚卸しして、自分の良さが出せそうで、とても辛い思いや嬉しい思いをしたエピソードを書き出します。良さそうなエピソードが見つかったら、そのエピソードを1000字でも2000字でもなんでも思い出せること全部書きましょう。そしてそこから400字くらいに凝縮すると洗練されます。その時に志望動機との橋渡しも意識すると良いです。
そこから400字に無駄な言葉がないか、もっと良い見せ方、言い回しがないかを考えていきます。

コツとしては、困難に出会い、それを乗り越えることを決心、それはなぜか、どういう解決策をたてたか、その後どのような結果を出し、さらに新たに解決策をどう変えて、結果的にどう成功したか。という流れで書くと分かりやすいです。あと感情も伝わるように、最初もしくは真ん中、もしくは両方でマイナスになり、最後にプラスにすると良いです。あとは最後の成果を、数字を使ってわかりやすくするのもテクニックです。20万円台から30万円代にあがった。400人中20位以内になった。など聞いている人が達成の難易度をイメージしやすくなります。その他見やすくするため①②などを使うのも有効です。


最後に周りの人やOB訪問などで実際に見てもらい、分かりやすいかどうかなどを聞いてブラッシュアップしていくと圧倒的に良くなります。特に人事経験者のOBに見てもらうと有効です。厳しく見てもらえる人に出会えたら何度も見てもらうのも良いです。何より差異化を忘れずに。

😩おまけ よくあるイケてないESの例(私個人の感想)

・同じ情報や似たような情報が複数出てくる、無駄が多い
私の強みは〇〇です。〜〜。このように私の〇〇という強みを活かして達成しました。
上記のように、最初と最後に同じ情報を二重で記載している。この場合どちらかにのみ記載して、そのほかの肉付けなどに字数を使った方が良い。他にも同じ意味でも長いセンテンスを使っていたり、同じ単語を何回も使っていると洗練されていないと感じます。

・志望動機が会社サイトのコピー
「グローバルファースト」を実現していて良いと思った。(グローバルファーストを会社のサイトから見つけて書いただけ)
グローバルファースト理解しているの?他の会社でもグローバルな仕事できるけどなんでうちなの?と聞かれて ぐぬぬ… となります。会社に入ることが自分にとってベストな手段だと説明する上で、会社の特性を記載するのは良いですが、ただワードを載せてそれっぽく記載するのは失敗します。ベストな選択肢だという説明ではなく、その会社ありきの説明になっているものを本当によく見かけます。

・夢ややりたいことを思ったきっかけが薄い
「昨今子供の教育格差による貧富の差が日本でも起こっており、そうしたものを解決したいと思った。」
上記のような書き方をしている場合、他にも日本ではたくさんの問題が起きているけど、なんで教育格差に興味を持ったの? テレビで見て言ってることだけで、あなたは熱意を持って諦めずに改善するまで情熱を燃やせるの? と疑問が湧き起こります。自分の夢を持つきっかけは自分の実体験の方が納得しやすいです。肌身で感じ、熱烈にどうにかしたい!と思った経験の方が、その人のベクトルを強くするためです。

・このES テンプレっぽい…
おそらく情報社会なので、良いESのテンプレートは出回っているのだと思うのですが、読むと結構分かります。その人の言葉ではないからです。テンプレートを参考にするのは全く問題ないですが、あなたのエピソードやあなたの言葉で書くことをお勧めします。嘘っぽさや軽さが面接などではどうしてもバレてしまいます。

余談
ESがうまくかけていなくても、面接まで進めれば挽回のチャンスはあると思います。面接官も面接前にしっかりESを読めているとは限らないので、ESの出来より、本番の面接内でうまく説明することを意識しましょう。

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございます。少しでも参考になればハートマーク押してもらえるととても励みになります。またもっと詳しく聞きたい方いらっしゃいましたら、質問していただいたり、個別レクチャーもできますので、ご連絡ください。
就活は辛いこともたくさんありますが、自分を棚卸しする良い機会ですし、良いESが書けると、自分の自信にもつながります。どうか悩んでいる皆さんが、数ヶ月後に笑顔になっていますように。陰ながら応援しております。

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