BOOK📕わたしたちは銀のフォークと薬を手にして
ひとりひとりが
ひとつひとつ決断していく姿が
凛としていてとても美しかった。
美味しいご飯と美味しいお酒を共に味わえる人がいる喜び。
大事な人を通して見えてくる自分自身。
この気持ちって、本心なのかな
大切だからこそ、失いたくないからこそ、自分の本音に気づくのが怖い時もあるけど、
気づいてしまったら離れなきゃならなくなるんじゃないかって、まだわかりもしない先の未来を想像して急に怖くなって尻込みしてしまう。
今のままがいい。そんな怖さを味わうくらいなら今のままでいい。自分の本音になんて気付かなくったっていいの。
そんなふうに逃げ出したくなる気持ちをぐっと堪えて、それぞれが自分に向き合う姿がほんとうにかっこよかった。
30歳独身彼氏なしワーカーホリックな知世が、椎名さんに出会うことで、本当の意味でどんどんまろやかになっていくのを見つめながら、自分の姿と重ねてみてた。
私はバリキャリでもないし、知世より2歳もお姉さんだし、自分を押し殺して妹の言うことをきくような優しい姉ではないけれど、それでもやっぱり、知世の気持ち、わかるなーって何度も何度も頷いた。
この年齢で、一癖も二癖もあるような人と付き合っていて、でもその人は本当に優しくて、初めて愛されてる実感を与えてくれた人。
ぜんっぜんタイプじゃないのになぜだか知るたびに惹かれていった人。
奔放な私が、でもビビリな私が、ありのままの姿でいれるひと。
椎名さんの、大人な包容力と、彼の心の広さを重ねていたのかもしれないなって。
ブックカバーが素敵で、たまたま手に取った。
読み進めるたびに、今の私にどんぴしゃだと感じた。
自分の責任のもと、流れに身を任せる。
主人公たちがそんなふうに、それぞれの人生を生きていく姿をみて、
これは今の私へのエールだなって、
なにか見えない力が今の私にこの本を選ばせたなと、いいように解釈している。
でもきっとそう。
あなたの選択は間違ってないよって、
この本が背中を押してくれてる気がする。
悩みながらも結局は幸せでしかありえない。
おいしいごはんとだいすきなひと
この組み合わせが、とてつもなく尊くて愛おしいものなのだと改めて気付かせてもらえた時間だった。
遠慮なしのセミ声、真夏の朝に読み終えた初めて。
つぎはしっとりとした夜にこの本のラストを締めくくったらどんな感じがするだろう。
そんな楽しみを抱きつつ、これから私のいつもの日常が始まる。