心の中の、ちいさなわたし。
それはわたしの
一番本能に近い部分、
とでもいいましょうか。
何年か前までは
たまに心の中で
ちいさなわたしを見掛けても
ただ泣いているばかりだった。
悲しいのか辛いのか
それもよくわかんないのか
心の中の、ちいさな部屋で
うずくまって彼女は泣いていて。
わたしはどうしてやることも出来ず
ただ近くで見つめているばかりだった。
この頃は
ちいさなわたしが
意思表示するようになった。
彼女は真っ直ぐだけど
言い始めたら聞く耳を持たない。
「あっちはやだ!これがいい!」
「こっちだったらしない!」
そんな具合で。
それをわたしが
大人の言葉に翻訳して
周りと交渉をしている。
習い事を決める時も
彼女は言い出した。
「絶対にあの先生のところに行く!」と。
大人の事情なんてものは
いっさい抜きで。
でも同時に
わたしのまぎれもない本心でもあった。
泣くしか出来なかった赤ちゃんが
3~4歳ぐらいには成長したのかな。
そんなふうに思いながら
彼女の声を聞く。
子ども時代のわたしは
自分で決めることが怖かった。
正解のないことに対峙すると
泣きたくなるほどだった。
それでも涙は見せたくなくて
心はガチャガチャ鍵だらけ。
大人になってから
すぐそれが改善するわけでもなく
周りに流されながら
運良く生き延びてきたような
人生だったかもしれない。
夫と出会ってから折々で
「みみはどう思ってるの」
なんて、聞かれるようになって
決めたことで文句を言われないこと
自分の意志を尊重してもらえる環境があることを
少しずつ知っていった。
鍵が少しずつ外されて
ちいさなわたしは
初めて外の世界を知ったのかもしれない。
いつか彼女がもっと成長して
心の扉を開けておけるようになる日が
来るといいな。