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スレイン・ザーツバルムのブリュメール18日――ヴァース皇女の悲劇
歴史は繰り返される……一度目は悲劇として、そして二度目は茶番劇として
いまやザーツバルムを名乗ることを許されたスレイン・トロイヤードが、偉大な父(養父)の通ってきた歴史を繰り返さない、などということを、どうして言えようか。
復讐を遂げようとしていたザーツバルム伯爵は、スレインの復讐によってその生涯に幕を引かれている。これは紛うことなき悲劇である。しかし――いや、そうであればこそ、火星騎士たちの階級意識を踏み台に、自らが手中に権力を収めたスレイン・ザーツバルムの歴史が茶番劇となることの必然性を、どうして否定することが出来よう。
一度目
先人もどこかで言っている。
人は自らの歴史を創るものだが、それは自由に創るものではなく、目の前に与えられた条件のもとで、過去とつながりのある条件のもとで、創るのだ。その条件を自らが選ぶことはできない。今を生きている人の頭には、過去の死せる世代の伝統が悪夢のように重く圧し掛かっている。
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