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蕨市・見廻り隊3(蕨宿)
蕨市の地名の由来は、「蕨」説と「藁火」説の二つがあります。「蕨」説は、僧慈鎮の「武蔵野の草葉にまじるさわらびをげにむらさきの塵かとぞみる」から「蕨」と命名した。「藁火」説は、源義経や在原業平が藁の燃える火を見た謂れから「蕨」の字を充てた。地名の由来から、慈円和尚や義経が業平も登場する歴史のロマン、創作です。
「煙立ちもゆとも見えぬ草の葉をたれかわらびとなずけそめけむ」(真せい法師、905年撰進させた古今和歌集より)
この歴史ロマンに反し「久々に材木の置き場に様子を見に行ったら蕨が沢山生えていた。この蕨は売り物になると耕作地を広げていった」等の言い伝えが一族間に残っています。
蕨根も葛根と同様、平安時代前から一族間では食用とした「わらび餅」の原料となる蕨は身近な山草でした。
「わらび」を詠んだ歌が万葉集・春雑歌にあります、
「石ばしる垂水の上のさわらび(左和良妣)の萌え出づる春になりにけるかも」・志貴皇子
「源氏物語」では、
「この春はたれにか見せむなき人のかたみにつめる峰のさらわび」