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学校ナッジ「廊下を歩く文化」の作り方②【行動経済学×生徒指導】

前回のあらすじ

前回の記事では、
「なぜ大人は走らないのか」という視点から、
廊下の歩行文化の重要性について考察しました。
また、校長への事前打診についても述べさせていただきました。
今回は、続編として
【全校生徒へのオリエンテーション】に
焦点を当てていきます。

「廊下を歩く文化」の作り方マップ

①校長への打診↓
(まだの方はこちらからご覧ください)


②全校生徒へのオリエンテーション【本記事】
③生活安全委員でナッジ組織を発足
④月末に歩行データをフォームで集計
⑤委員会でデータを解析し、調整を図る

②全校生徒へのオリエンテーション


年度初めの集会で、スライドを使った
オリエンテーションを行います。
これはナッジではなく、
ブースト(よりよい意思決定力自体を高める)に
近い役目を果たします。
完全教師主導で今年度の道筋を示します。
以下は私が現在考えているスライドの内容です。

1. 走りたくなる気持ちへの共感
なぜ子どもたちは廊下で走りたくなるのか。
悪意があるから走っているのではなく、
目的があるその気持ちに共感を示すことで、
「叱られる」というブロックを外し、
話を聞く土台をつくります。

2. 走ってしまう場面の具体例
トイレ急ぎ、休み時間の楽しみ、帰りの急ぎなど、
実際に走ってしまう具体的な場面を挙げます。
走る目的に理解を示します。

3. それでもなお、走ってはいけない理由があることを伝える
理由として、
安全性への配慮、公共の場での振る舞い
という2点を挙げます。
ここからは特に真剣に伝えていきましょう。

4. 安全について(ケガの実例)
実際の怪我の事例を共有し、
廊下での走行の危険性を具体的に示します。

5. ルールについて(デパート等の実例)
公共の場での走行が許されない理由を、
デパートなど他の公共の場の例を引き合いに出して
説明します。

6. 配慮不足からの走行
走る行為が他者への配慮不足から
生じる可能性を指摘します。
だからこそ、大人になればよっぽど走らない。
でも走ってしまう大人もいる(私含め)
逆にいうと他者へ配慮できる子どもも
もちろんいる。
走る行為に、大人も子どもも関係ないことを
改めて伝えます。

7. 大切なのは、走ってしまう時の自己認識
走ってしまったときに「走っちゃったな」と
自覚できるかどうかに焦点を当てます。
それを自覚できれば、だんだんと少しずつ
回数は減っていくことを伝えます。
また、いきなり走らなくなることを
目指さなくてもよいと伝えます。
5回に1回、走らないで移動できた
自分を褒めてあげるようにするとよいと
伝えます。


8. 先生の役割
先生が走っている子どもを見かけた場合、
これからと同様「歩きましょう」と声をかけます。
しかし、叱ることはありません。
なぜなら・・・

9. 最終的な選択権はあなたにある
これから歩くか走るかの選択は、
最終的に子ども自身に委ねられることを
強調します。

10. 学校のサポート
学校は、子どもが自分と他者の安全を
大切にする人になれるようサポートすると伝え
終わります。
また、今は話すか迷っていますが、
・毎月データをとること(クラス比較はしない)
・本校に新しい文化を作っていく提案
なども入れるかもしれません。

ナッジをする前の語りポイント

誰かを傷つける行為以外は、
どんな選択も自分自身で決めると語ることが
学校教育でナッジをする際に重要だと
私は考えています(提案・提供はします)。

パターナリズム(父権主義)の色が強い
学校教育の中で、
ただただ「良い悪い」で物事を
片付けるのではなく、
「良い悪い」の中にもさまざまな
パターンがあることを大切にします。
「悪い選択をしたなかにも葛藤があった」
かもしれないですし、
「良い選択をしたなかにも違和感があった」
かもしれません。

本来、ナッジは
無意識化においてよりよい行動を誘導する
ものですが、
わたしはとにかく透明化することにこだわります。
ナッジする目的を話します。
「ナッジをすること」が目的ではなく、
「よりよい意思決定の機会を提供すること」
が目的です。
ここにはさまざまなご意見もあると思いますが、
結果よりもプロセスをまずは大切にし、
分析を重ね、最終的によりよい方へ。
私の中の信念でもあります。

次回、生活安全委員でナッジ組織を発足

いかかでしたでしょうか。
今回は生徒の前での具体的な語りを
ご紹介しました。
同じものでもよいですし、
上記のポイントをおさえながら、
より素敵な先生方の語りを
考えていただけたらと思います。

次回の記事は、
ナッジのための組織づくりについてです ↓



そうじナッジ↓

サポートナッジ↓

あいさつナッジ↓


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