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雪がふった日

1月9日(木)
朝、目が覚める。
鼻のあたまがつめたい。
おふとんから出れない。
勇気を出して むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。

わぁ、雪が降っている。きれい。
しばらく うっとり眺める。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。

ウーちゃんとルーちゃんに
控えめにエサをあげる。

雪、降ってるかな。と何度も庭に出る。

ふったり、やんだり。

同じ福岡県で山の方に住んでいる
KAさんからメッセージが来た。

わた雪が降っているということ。
聞いただけで わくわくする。

寒かったり不便になったりするのだが、
雪が降ると わくわくする。
KAさんも わくわくすると書いてあった。
いっしょだ。

昨日、ごはんさんに
玄関のスイッチを換えてもらったので
スイッチを押すのがとても楽しい。
指が喜んでいる。
朝から何度も点けたり消したりしている。

昨晩遅く眠る前にネパールのウルちゃんから
メッセージが来た。

ネパールとは時差があるので
夜遅くメッセージが来ることが多い。

写真も添付されていた。
子供たちがメチャくん絵本を持って
うれしそうにしている。

ウルちゃんは小学校の先生だ。
標高が高い山の学校で教えている。

メチャくん絵本の翻訳家
クリシュナさんの奥さまでもある。

ウルちゃんは単身赴任なのだ。
遠く離れた村でクリシュナさんと
息子さんのアビラル君が暮らしている。

ネパールのディパーソンからメッセージが来た。
チコちゃんのニット帽をかぶって
喜んでいる女の子の写真が添付されていた。

ディパーソンはネパールで
タレントさんをしながら小学校経営もしている。

続いてクリシュナさんからメッセージが来た。
今日はネパールからのメッセージが多い。

子供図書館でメチャくん絵本が配られたらしい。
私も訪問したことのある図書館だ。
喜んでもらえたようでうれしい。

「みる、ネパールに今度いつ来るの?」

と、ウルちゃんや他の友人のメッセージに
書かれていた。

何年も前、
英語もネパール語も喋れないのに、
友人もいないのに、
ひとりでネパールに渡航した。

メチャくん絵本をネパール語に翻訳して
現地で印刷をして子供たちに
プレゼントするためだった。

旅行なんてほとんどしたことがない私にとって
バンコクで 1泊して飛行機を乗り換えるというのは
宇宙ステーションで宇宙船を乗り換えるくらい
ハードルが高かった。

いま思うとすごい情熱的だったなぁ。と、思う。

そのうちネパールの友人がたくさんできて、
家族のように親身になってサポートしてくれて
たくさんの初めての経験に胸が熱くなった。

渡航すると3週間くらい滞在した。
みんな真剣に初めてのネパールでの
絵本印刷に取り組み、
子供みたいに わぁわぁ思いっきり遊んだ。

出会う子供たちが純粋で可愛くて
いつまでもいっしょに過ごしていたかった。

自分が秘境好きだということも知った。
新しい自分を発見した きぶんだった。

標高3,800mの山に登り、
灼熱のジャングルを9時間歩き、
電気もガスも水道もない場所で過ごし、
迷子になり、お祭りに参加し、
とんでもない場所に泊まり、
テレビに出演して新聞に載った。
みんなが歓待してくれて
泣いたり笑ったりとても楽しかった。

もうネパールに渡航することはないだろう。
ニッケルのアレルギーになり、
あれこれ食べれないものの中に
豆類すべて、香辛料、カフェインがある。

ネパールの食事のほとんどに
豆類と香辛料が使われている。
そして、毎日何度も飲まれている
チヤと呼ばれる煮出したミルクティー。

離れていても、みんなが
元気でいてくれたらいいなぁと願う。

プラカッシュはいつも最後に
「みるに祝福を贈るよ。」と言ってくれる。

窓を開けて新鮮な空気を入れるように自然に。

銀杏を梱包する。

仕事部屋にこもり絵本の作画をする。
もくもく、もくもく。はかどった。

夕方、ごはんさんが帰ってきた。
わた雪になっている。
すごくきれい。
ふわふわの雪がどんどん降りてくる。
とても静かに。

うっとり眺める。
空から白い花びらが降ってきているみたい。
手に乗ると優しく溶けて消える。

不思議だ。
水は雪になったり氷になったり
水蒸気になったりする。
みんな同じものなのだけど、
形が変わると名前が変わる。

ごはんさんの髪の毛にも
たくさん雪が乗っていた。

「積もるかな。」
「凍るかな。」
「寒いね。」
「きれいだね。」

と、話す。

雪が降る中、お買い物に しゅっぱーつ!

山々から湯気が出ているように見える。
その山が うっすらと雪化粧していた。

「山、きれい!」
ごはんさんが言った。

「ほんっっとにきれいね!」
と、私。

ため息が出るほど美しかった。

夜、庭に出る。
雪がうっすら積もりはじめた。
シエンタの屋根に淡い雪帽子。

玄関灯に照らされて
雪がキラキラ輝いて美しい。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

これから眠くなるまで絵本の作画をしよう。

今日もいい一日だった。

ウルちゃんと子供たち

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