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どこまでも歩けそうな気がする

12月12日(木)
朝、アラーム 1回目で目が覚める。
おふとんの中からモゾモゾと手を出して
ファンヒーターのスイッチを入れる。

お部屋が暖かくなってくる。幸せ。
むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。
その様子を眺めながら
今日の元気にありがとう。と、思う。

食事の支度をする。

ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「は〜い!」と言いながら玄関へ。

トゥインクルちゃんを抱っこした
ぷりんさんが立っていた。

トゥインクルちゃんがフードに耳がついた
もこもこのケープを羽織っている。
靴下には大きなリボン。
可愛すぎる。
お人形さんみたいだ。

「みるさん、お散歩。」
と、ぷりんさん。

いつもならいっしょにお散歩するところだが、
ちょうど料理の真っ只中だった。
説明すると、

「Oh, じゃ、また今度お散歩。」
と言って、ふたりは てくてく歩いて行った。

その背中を見送って急いで料理に戻る。

午後、ごはんさんと銀杏のこと、
年明けの ”こもれびの森” の打ち合わせをする。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして
ふたつ作っておく。

もこもこの上着を着て、
ふわふわのイヤーマフをして、
カゴに銀杏を入れてお散歩に行く。

「銀杏いらんかね〜。」と、言いたくなる。

ご近所の男性が玄関前に座っていた。

「銀杏…」と声をかけると、

「なになに?」と言いながら近づいてきた。

その姿を見て違和感を感じた。
なんだろう。
なんか、まちがい探しみたいなきもち。

喋りながら分かった。

12月の屋外なのに、
彼は半袖の白いTシャツに
トランクスという姿だった。
真夏の家の中の格好だ。びっくりした。
寒くないのだろうか。

てくてく歩く。
WさんもTAさんもお留守だったので
カゴの中に銀杏を入れたまま歩く。

庭仕事をしているTAKEさんが

「がんばって〜!」
と大きく手を振ってくれた。

「は〜い!」
と言って私も手を振る。

坂道をズンズン上る。
あぁ、楽しい。
お散歩は本当に楽しい。

右足を出して左足を出して
どんどん自分で歩ける。
なんて幸せなことなんだろう。
どこまでも歩けそうな気がする。

てっぺんで風に吹かれながら
街並みや山並み、空や大きな池を眺める。
心臓がドキドキして
体もほっぺも ぽかぽかしている。
そのぜんぶが楽しい。

ある夏の夕方のお散歩を思いだして
思わず笑みがこぼれる。

家に帰り着く。
玄関を開けると、木こりさんの椅子に
立派な椎茸が置いてあった。

肉厚で軸もどっしり太い。
開ききっていない傘が
この椎茸の ぷりぷり感を予想させる。

お、おいしそう…。

椎茸はきっとお向かいの Iさんだ。
Iさんの家に行くとお留守だった。
明日聞いてみよう。

修一郎が起きていたので

「椎茸置いてあったけど誰か来た?」
と聞いてみる。

「誰かが、”さかいさ〜ん” って
 何回も呼んでたよ。」
と修一郎が言った。

多めのオリーブオイルを熱したフライパンに
椎茸の傘と軸を並べる。
岩塩をゴリゴリ挽いて振りかける。
蓋をしてじっくり蒸し焼きにする。

ものすごくおいしかった。
新鮮な椎茸の味。
ぷりぷりして みずみずしくて
何個でも食べれそうだった。

ごはんさんが
「弟さんに銀杏送ってあげたら?」
と言っていたことを ふと思い出した。

弟が銀杏を食べるイメージがなかったので
聞いてみた。

すると、銀杏がすごく好きで
毎年、神山という弟たちの家からは遠い場所へ
買いに行っているということだった。

びっくりした。
弟といえど、離れて暮らして何十年、
知らないことはたくさんある。

ごはんさんに話すと、
「残りをぜんぶ送ってあげるといい。」
と言ってくれた。

ものすごく喜ぶだろう。

梱包する。

仕事部屋にこもって書類を作成する。
こつこつ絵本の作画をする。

心が しんと静かになっている。
こういう時間も好き。

夜、庭に出る。
夜空は一面の雲模様。
星が降りてきたみたいに
イルミネーションが煌めいている。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

これから眠くなるまで
絵本の作画をしよう。

今日もいい一日だった。

数年前、ハーレーダビッドソンのバイクを
納車するために来福したときに寄ってくれた弟と♪

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