ぜんぶ楽しい
8月30日(金)
朝、目が覚める。二度寝の誘惑を振り払って むくりと起き上がる。よし。強力な誘惑に打ち勝ったぞ。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。ぴょんと飛び跳ねながら食べている。可愛い。
水を換えていると、ルーちゃんが慌てて土管に潜って じっとしている。しっぽが出ているのが可愛い。換水がとても苦手なルーちゃんなのだ。
絵を描く。集中して もくもくと描いてゆく。雨の音が聞こえる。
00号サイズのものすごく細い筆で何度も塗り重ねてゆく。夢中で描きつづける。
修一郎の食事をお弁当仕立てにしておく。
午後、大切な用事で ごはんさんと出かける。ひとつひとつ用事を完了させてゆく。
道中、
「なんでも自分がそのことをどう思うかだよね。」という話になる。
本当にそうだ。日常生活で起きる ほとんどのことはモノの見方、捉え方次第だなぁと思う。どう捉えるかで自分のまわりの世界はガラリと姿を変える。
そして、いま進めている新しい計画についてあれこれ話す。
「こういう話しているだけでもう楽しいよね。」と、ごはんさん。
本当にそうだなぁと思った。わくわくする。
川沿いを走る。川の水が いっぱいいっぱいになっている。稲が ところどころミステリーサークルのようになっている。
「この雨でクローバー、芽出しそうだね。」と、ごはんさんが言った。
「うん、ちょっと出てた。」と、私。
「9月は成長期だからどんどん出るかもしれない。種もこぼれていると思うし心配しなくていいね。」と、言ってくれた。そして、
「カラカラに枯れていたダムもまた水がいっぱいになっていると思うよ。」と言った。
自然はすごい。怖かったり美しかったり、いろいろな表情を持っている。
こもれびの森に寄る。
全て無事だった。大雨が降るといつもたっぷり水が溜まりドロドロになる場所があった。ざっぶんざっぶん歩いていた。
そこを ごはんさんが溝を作り排水できるようにしていた。どうなっているか確認する。全く水が溜まっていなかった。びっくりした。そして ほっとした。
ご飯を食べてから大きなスーパーマーケットに寄って帰る。
松茸が売っていた。ドキドキする。以前、ごはんさんが松茸を買った。それをいい具合に切ってオリーブオイルで焼いて岩塩を振り、ほとんど私が食べた。私の中にある遠慮の概念はごくささやかなのだ。
お吸い物や炊き込みご飯にうすい松茸が少し入っているのは食べたことがあったが、こういうふうに松茸だけを食べたのは初めてだった。強くはないけれど独特の香りがした。食感がよく、とてもおいしかった。キノコはなんでもおいしいなぁ。
今日も ごはんさんが松茸をカゴに入れた。おぉ。眩しい。
家に帰り着く。
夜、玄関の戸を開けて夜空を見上げる。台風は行ってしまったようだ。どこに行ってもみんな無事でありますように。と願う。夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
これから眠くなるまで絵を描こう。絵を描くことも、文章を書くことも、こもれびの森に行くことも、ぜんぶ楽しい。
今日もいい一日だった。