おかえりシエンタ さよならマーチ ありがとう
10月9日(水)
朝、目が覚める。寝坊した。親切な小人さんたちがアラームを消してくれたようだ。「みるみる、もっと寝ていいよ。」と。むくりと起き上がる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
ウーちゃんとルーちゃんに冷凍アカムシをあげる。ここ最近タブレットでは低かったテンションが一気に上がった。ばくっ。
植物たちに水をあげる。
ホオズキの葉っぱがほとんど落ちて、オレンジ色の実が乾いてきた。
ピンポーン。チャイムが鳴った。
「は〜い!」と言いながら玄関へ行く。
郵便局の配達員さんが立っていた。荷物にサインをしていると、
「最近、お忙しかったんですか?」と、配達員さん。
「え。」と、私。
「あのカード貼ってること多かったから。」配達員さんが
”すぐ戻ってきます。荷物は玄関にお願いします。いつもありがとうございます” カード(似顔絵付き)を指差した。
「ここのところ出たり入ったりしていたから。」と、私。
以前は荷物が届く時間帯は在宅率100%に近かったのだ。
「久しぶりだなぁと思って。」と、配達員さんが笑顔。
「久しぶりに会えてよかった!」と、私も笑顔。
配達員さんはメチャくんや おんがっぴーがお好きなのだ。にこにこしながら片手を上げて車に戻られた。
届いた荷物は、マーチの最後の書類。
午後、トヨタのYさんがみえる。ちょうどよかった。
ネパールのクリシュナさんからメッセージが来ていた。
風景写真が添付されている。メッセージには
”緑いっぱいのところに小さい顔のメチャ君。
今年の雨季は大雨であっちこっち大変でした。うちの村は大丈夫でした。”
と書かれていた。
拡大して見ると、道の先にあるクリシュナさんのご自宅の壁に描かれたメチャくんが、緑の中から顔を出しているように見える。ほほえましくて笑顔になった。
その写真はネパールの香りを運んできてくれた。きゅん。
絵本のラフを描く。もくもく。もくもく。
すごく集中していると、いつも涼しい風が吹いてくるような感覚がする。きもちがいい。シャキッとしている感じ。はかどった。
修一郎の食事をお弁当仕立てにして ふたつ作っておく。
トヨタのYさんがみえた。
書類の受け渡しをする。
そして、これからYさんはマーチに乗って帰るのだ。それでマーチと お別れだ。
泣かないようにしよう。と、思っていた。泣いてもいいんだけど、さよならのときに泣くとマーチが心配するだろう。
Yさんがエンジンをかけて出発する。
オレンジ色のマーチの後ろ姿を見送る。可愛い色と形だな。と思った。みかん みたい。18年間、走っている後ろ姿を見たことがなかった。いつも私が運転していたから。
見えなくなるまで じっと見ていた。
見えなくなっても じっと立っていた。
シエンタに「おかえり」と声をかける。
車内を掃除していると、ごはんさんがお仕事から帰ってきた。ナンバーの銀色の枠をあっという間に取り付けてくれた。
そして、今日も栗拾いに行こう!ということになる。
練習がてらシエンタを私が運転して行くことにする。
初めてのシエンタで楽しい栗拾いに しゅっぱーつ!
ゆっくり進む。
にりんさんがアランくんとお散歩をしていた。窓を開ける。
「こんにちは〜シエンタ初運転です!」と、私。
「だ、大丈夫?気をつけてね。」と、にりんさんが笑って見送ってくれた。
以前、にりんさんに言われたことがある。
「ごはんさんって勇気あるよね。みるさんの隣に乗るなんて。」と。
シフトレバーの位置とか、サイドブレーキが足踏み式だったりとか、いろいろ ちがうところがある。ごはんさんに教えてもらいながら運転する。隣に乗ってくれているので安心して運転できる。
ちょっとずつ慣れてきた。快適。楽しい。ららら♪
道中、ごはんさんが
「リレーセンター、オレ行ってあげるのに。」と言ってくれた。本当に ごはんさんは親切なのだ。
「まだ大きいのと重いのがあるから、私にはとても運べないので それお願いします。」と、すかさずお願いした。
こもれびの森に到着。
「栗〜〜!」
「くりくり〜〜!!」
「いっぱいある〜!」
今日も わぁわぁ はしゃぎながら栗を拾う。
見つけるのも楽しい、取り出すのも楽しい、宝探しのようだ。
毎日こんなに栗の実を落としてくれてすごいなぁ。ありがたいなぁ。毎日栗拾いしても全然飽きない。楽しすぎる。
袋にどっさり拾った。
「なんか、豊かなきもち。」と、ごはんさん。
「ね、ほんと豊かだね。」と、私。
今日は おいしいうどん屋さんに寄る。
私は 塩むすびを ふたつ。ここの おむすびは温かくて ほろっといい具合にほどける固さでとてもおいしい。ごはんさんは山盛りの おうどん。
「おいしいよ。」
「おいしいおいしい。」と、言いながら食べる。
車の中で
「この栗どうしようか?」と、話す。
昨日は母に送った。「ほくほくしてとてもおいしかったよ。」と、喜んでくれた。
「にりんさんたちにあげようか。」ということになる。
いつものお店に寄って帰路に着く。もう暗くなっている。日が暮れるのが早くなったなぁと、しみじみ思う。
家に到着。
3分の2くらいを袋に分けて にりんさんのお家に持って行く。
奥さまのミャウさんがお庭にいたので
「さっき、ごはんさんと こもれびの森で拾ってきたんです。どうぞ。」と言って栗を渡す。
袋の中を見て
「立派な栗ねぇ。」と、とても喜んでくれた。
「みるさん、どうやって食べた?」と、ミャウさん。
「栗ごはん。」と、私。
「やっぱそうよねぇ。剥くの大変でしょ。」ミャウさんが言った。
「うん、筋肉痛になった。」と言って ふたりで笑った。
それからシエンタの話になった。
「車、シエンタになったね。」と、ミャウさん。
「ごはんさんがくれたんです。」と、私。
「聞いたよ〜すごいよね〜。」と、ミャウさんが言った。
「色塗り替えようと思って。」と、私。
「何色にする?」
「ミントシャーベット。」
「どんな色?」
「シャーベットのミント色。シャーベットより ちょっとくすんでるっぽい。」
「どこで塗り替えるの?」と、ミャウさんが聞いた。
「ごはんさんと私で塗ります。」と答えると、
「えっ!ふたりで!?そこで?」ミャウさんがびっくりしている。
「うん。」
「塗ってるとこ、窓からそっと見よくね。」と言ってミャウさんが笑った。
「どうしたん?」と言って にりんさんがやってきた。
「栗もらったよ。明日栗ごはんね。」と、ミャウさんが にりんさんに言った。
「さっき、栗拾いに行ってたんや。」と、にりんさん。
「はい、めっちゃ楽しかった〜。」と、私。
家に戻る。残りの栗はまた皮を剥いて冷凍しておこう。
夜、庭に出る。
星がひとつ ぽつんと輝いていた。可愛いなぁ。手を振る。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
これから眠くなるまで絵本のラフを描こう。
今日もいい一日だった。