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楽しみにしてるよ!

11月12日(火)
朝、アラーム2回目で目が覚める。
むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。

ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。

修一郎の食事をお弁当仕立てにして ふたつ作っておく。

今日はシエンタのワックスオフをする。昨日車体をゴシゴシしたので油分や粉をシンナーで拭き取るのだ。

壁画のときに着ていたツナギを着る。ペンキや絵の具がたくさんついている。髪をダッカールピンで留める。

さぁ!ワックスオフするぞ!
と、意気込んで容器のフタを開けようとした。初めて見るフタの形状だ。どうやって開けるんだろう。とにかく回してみよう。ちっとも回らない。フタ開け器を持ってくる。どうやっても開かない。

諦めてペンキのフタを開けようとする。開かない。固い。がんばるが、びくともしない。途方に暮れる。

しゅんとして、マスキングテープを貼り残しのあるところに丁寧に貼ってゆく。

食事の支度をする。
ウーちゃんとルーちゃんの水槽の水を換える。

午後になった。
いそいそと ごはんさんのところへ行く。
フタを開けてもらうのだ。

ワックスオフの複雑なフタをすんなり開けてくれた。開け方も教えてくれた。

そして、私ひとりで塗装することを しっかり励ましてくれた。心強い。

ゴム手袋をはめて、はりきって ふきふきしてゆく。

すごく大きな車が2台やってきた。
じっと見ていると、目の前に止まった。側面に九電工と書いてある。

ぴんときた。
わが家の駐車場の真ん中にある細い電柱から、わが家にだけ引き込み線がきている。車を停めるときちょっと不便だ。なので、可能であればその電柱を抜いてほしいと連絡したことがあった。

そのとき、電柱はNTTのもので引き込み線は九州電力のものだということが分かった。「両社で協議します」と言ってくれた。

すっかり忘れていた。きっとこれだ!電柱を抜いてくれるんだ!と、ドキドキした。

車から作業服姿の人たちが降りてきて、テキパキと動いている。その中で何かの線をころころ転がしながらこちらに向かってくる人がいた。

「こんにちは、何が始まるんですか?」と、ドキドキしながら聞いてみる。

「引き込み線を$#%&…(なんと言ったか忘れた)」と、とても愛想のいい男性が笑顔で答えてくれた。

「そっか…私、電柱抜いてくれると思ってました。」と言って事情を説明した。すると、

「電柱は抜かないけど、多分、それで引き込み線を$#%&…だと思いますよ。近々来るんじゃないかな。」その人が にこにこしながら言った。

「えっ!うれしい!夢みたい。」私も笑顔になる。

みんなが作業をしている間、私はシエンタを ふきふきしていた。なんか、いっしょに現場作業しているみたいだ。

先ほどの男性が、

「自分で塗装するの?」と聞いた。

「はい。」と、私。

「すごいね!」と、驚いている。

「あ、でも初めてなんです。」はにかむ私。

ふきふき、ふきふき。

九電工の人たちは、わきあいあいと作業をしている。とても感じがいい。
先ほどの男性が、トラックに乗っている人に

「自分で車塗装するんだって!」と、声をかけている。

「えー、すごいね!」と言ってくれている。聞こえてきて、はにかむ私。

九電工の人たちの作業が終了。帰るとき、

「がんばってね!」と言ってくれた。みんな にこにこしてあいさつをしてくれた。

ふきふき。ふきふき。

フロントガラスとボンネットの間の黒いところとワイパーに粉が散って汚れている。ふきふきする。

あれ?あれ、あれ?
なんだか黒いところが白っぽくなった。もしかしたら、ここはワックスオフで拭いてはいけないところだったのだろうか…。

ワイパーをちょっと触ってみる。
ペリ。

ああぁ…!ちょっと剥がれた。
塗装が終わったら黒いマジックで塗るといいかもしれない。ドキドキ…。

お向かいの Iさんが帰ってきた。
通りかかるお散歩の人たち、バナナさん、パジャマさん、きゅうりさん、みんなが声をかけてくれる。

「がんばりよんね!」
「キャンバスと車じゃちがうやろ?」
「楽しみにしてるよ!」
「車自分で塗るの!?」
「緑色にすると!?」などなどだ。

きれいに塗れるかな…?ドキドキ。

Yさんがゴーヤを持ってきてくれた。そこへNさんもやってきた。

「車、自分で塗りよん!?あらー、服どしたん!?」と、驚くふたり。

「これは前に壁塗ったとき、ペンキがついたんです。」と、私。

「車って自分で塗れるもんなん!?」と、YさんとNさんが同時に言った。

「ごはんさんはプロみたいに上手に塗ります。私は初めてなんです。手伝うよって言ってくれたんだけど、ごはんさん忙しいのに うちの植木まで切ってもらっているから、自分で出来そうなことは自分でしようと思って。」と、私。

「がんばって!」ふたりが にっこり笑った。

夕方になった。
今日は鍼灸の日だ。日野先生が往診に来てくれる。片付ける。

アレルギーやめまいに効くツボに鍼を刺してくれる。

車の塗装から車のナンバーの話になる。

「みるちゃんの車のナンバー、どうして2222にしたの?」日野先生が言った。

「ゾロ目だと、見た人がうれしくなるかなって思って。」と、私。

「で、2222?」と、日野先生。

「うん、アヒルみたいで可愛い。」と、私。

日野先生が帰られてから、ミニリンゴの木にイルミネーションをつけることにする。大きく育っているからイルミネーションが映えるだろう。ふふふ。

コードをつなげて「ジャーン!」と言いながら電源を入れる。
あれ?点かない。あれこれ試すが点かない。

明日ごはんさんに見てもらおう。

家に入り、オリーブオイルでカリッと焼きあげにしてほんの少し岩塩を振ったさつまいもを食べる。おいしい〜おいしい〜と、15回くらい言いながら食べた。

夜、庭に出る。
ふっくらした横顔のお月さまがきれい。ほっとする輝き。手を振る。

そうだ、忘れなければ明日シエンタの写真を撮ろう。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

これから眠くなるまで絵本の作画をしよう。

今日もいい一日だった。


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