死にたくなったから散歩に行く
夏の天気がいつのまにか席をはずして、すずしい空気が街中を走り回っている。
窓を開けた瞬間部屋を抜けていく風があまりにもあまりも、泣いちゃうくらいに気持ちよく、
「あ!死にたい!」と瞬間的に思ってしまった。
白いカーテンが踊るように靡いている。こんなに気分のいい天気なら、死ぬのにもってこいではないですか?♪とカーテンのドレスを着た希死念慮が手を差し伸べてダンスに誘ってくる。なんてやつ!
私の最近はみなさまご覧の通り、あまりよい状態の人生とは言えず、
鬱の薬をずっと飲んでおり、希死念慮が隣に座って私の肩を冷たい手で抱き寄せています。毎日。
だからと言って自らを傷つけたり、誰かを傷つけることは私にとってはありえない行為なので、なにも発散が出来ずにいます。
こんな暗いことを書いているけど一種の風邪のような病だと思っているので、いつか治ると、そう思っております。皆様もこういう時ありますでしょう。
窓を開けた瞬間に、明るくて元気な希死念慮に全身を強くハグされて、これはまずい!となり瞬間Google mapを開きました。
自分が電車で移動できそうな範囲を開いて、目をつむって、画面に指を乗せて、おまじないのように長押しをして、赤いピンを落とします。
今回ピンが落ちたのはここ。
何があるのか分からないし、別に何もなくてもいいので、
とりあえずこの部屋を踊り抜けるカーテンのドレスをまとった美しい希死念慮から逃げるべく、リュックにiPadを突っ込んでとにかく早く、外に出た。
地図によれば、新宿駅から埼京線で浮間舟渡(うきまふなど)駅まで行く。そこから歩いて19分で、ピンの落ちた目的地の場所。
電車に乗っている間、どうしても今日の夜寂しくなるだろうと思い、母親にLINEする。「今日やすみ?」
返事を待っているうちに埼京線の浮間舟渡駅に到着した。
浮間舟渡、文字面がかっこよいので由来を調べましたところ、「舟渡」の文字通り渡し舟があったことを指しているそうで、北区の「浮間」と板橋区の「舟渡」の境界線にあるためその二つをあわせた駅名になっているという。
かつて蛇行した荒川にて水害が頻繁に起こってたらしく、名前が水タイプすぎてそうだよなぁと思った。
もともと持っていたGR3xが壊れてしまったため修理に出しており、携帯で写真を撮っているのでなんか知らない人が撮った写真に見える。慣れない。
ここから歩いて19分ということなので、そんなに長くないのでテクテクと歩いていこうと思う。
とくに歩いていても何もない。
なんか心なしか火葬場の広告がいくつか目に飛び込んでくる気がする。
あと工場が多く、ガシャンガシャン…といった何から発せられてるかわからない音が遠くから響いてくる。
涼しい〜〜〜あ〜〜〜!となってたけど日照りの真下に肌を晒すと、まだ夏が「ここにいるよ…」と話しかけてくる。君ちょっと元気なくなったね。
通り抜ける風が秋めいている。こうやってすぐ冬になって、あけおめになって、ひなまつりがくる。ほんでもって春ですわ。
トコトコと歩いていると、私があまり見たことがない建物を発見!
実店舗を見たことがなかったので、やった〜♪となり入店。あとから「土手もあるしお外で食べよう」と考えついた。いい考えである。
右手にシャトレーゼの袋をぶら下げて、風を浴びながら歩いていく。
ファミマを発見したので、最近飲めるようになったカフェラテを買おうと入店。シャトレーゼメンバー、カフェラテ、と徐々に散歩パーティが賑やかになりつつある。
どんどんと近くなってきた…。果たして何があるのか…。何もなくてもいい…。
ついた!
ピンを落としたところは佐川急便の営業所だった。
まあこんなもんだよね。なんか持ってるもの送るかとか思ったけど何もなかったし、観光地でもないんだから意味ないだろと思ってやめた。
特に面白いこともないのでそのまま土手へ向かいます。
連絡した母親から返事がきた。「今日は休み」とのこと。晩ごはんを食べようと誘った。
めちゃくちゃくちゃくちゃに折りたためる1人用のレジャーシートをいつも持ち歩いているので、それを敷いてさきほどシャトレーゼで買ってきた秋のメンツを食べようと思う。
なんか3つくらい買ったけどそんなにお腹が空いていないので、餅だけ食べた。
ファミマでカフェラテを買ったついでにウェットティッシュも買っておいたので、手はきれいな状態になる!
特に座ってるだけで何もないですね。
おなかもいっぱいだし。
目の前をサイクリングの人たちがぐんぐんと通り過ぎていく。こんな天気に走れるのめっちゃ気持ちいいだろうな〜
ぼーっと目の前を通り過ぎる自転車の波を見ていたら、膝にハチが止まり、よじよじと登っていたので手で払った。
なんか弱ってるっぽかったので、踏まないところにポイとやった。元気でいろし!
なんか虫いるしそろそろ行くか〜と思い立ち上がり、レジャーシートを畳み、リュックを背負って歩き出す。
今度は浮間舟渡駅まではバスで向かう。
当初歩き始めた浮間舟渡駅についた。母親と一緒に行く店も決めて、この文章を駅前の公園にあるコメダ珈琲で書いています。
当初あった希死念慮は少し薄まって、ちょっとだけ気が紛れたような気がします。
来週は勝浦に行って、さらに希死念慮から逃げるべく、旅館に一泊泊まります。
そのときもまた文章が書けたらいいな。