ワイナリー訪問記「マンズワイン 勝沼ワイナリー(山梨県・甲州市勝沼町)」
山梨県・甲州市勝沼町にある「マンズワイン 勝沼ワイナリー」へ訪問しました。
お醤油で有名なキッコーマンの子会社として、1962年に創業されたワイナリーです。
マンズワインについて
マンズワインは「日本のぶどうによる、日本のワインづくり」をコンセプトに、日本の食文化に寄り添うワイン造りを目指して創業されました。
山梨県の甲州市勝沼町と、長野県の小諸市にワイナリーを構え、それぞれの土地の特性を活かし、日本の風土で育まれたぶどうを使用して丁寧にワインを造っています。
今回訪れた「勝沼ワイナリー」では、山梨県を代表するブドウ品種である「甲州」や「マスカットベーリーA」を主軸に様々なワインが造られています。
ワイナリー見学
ワイナリー見学コースは、毎営業日14:00~15:00で開催されており、普段は入ることができないワイナリーの地下セラーで、知識豊富なスタッフの方による説明を聞くことができます。
ワインテイスティング付き(1,500円 税込)のほかに、ワインの苦手な方やお子さん向けに、ジュースの試飲付き(1,000円 税込)の選択も可能なので、多くの方にお楽しみにいただけますね。
今回は特別に、地下セラーのさらに奥にあるワインの貯蔵庫内で、ワイン樽に囲まれながら貴重なお話を伺うことができました。
マンズワインでは、白ワインは絞った果汁のみを使用し、密閉タンクで発酵させています。
これは、フレッシュさを残し、酸化を防ぐためなのだそう。
このあとの説明につながりますが、赤ワインの醸造方法においては、この「酸化」が大きなキーワードになります。
赤ワインは、絞った果汁と一緒に果皮と種も、樽で発酵・熟成させ、果皮と種の抽出成分であるポリフェノール成分を酸化させながら醸造されています。
樽を使用する目的は、木目や合わせ目、出入り口からわずかな空気が入ることによって、中のワインを少しだけ酸化させること。
赤ワインを酸化熟成させずに長い時間、酸化しない状態が続くと、ポリフェノール成分同士がくっついて色の成分や、タンニンが沈殿し、色が褪せてくる現象の原因にもなるのだそう。
これらの現象を防ぐために、わざと少しだけ酸化させる、と仰られていました。
また、樽熟成を行うことによって、樽の香りがほのかにワインへ移り、より一層複雑みも得られるとのことです。
今回の試飲ワインのラインナップにはありませんでしたが、スパークリングワインについても説明を聞くことができたので紹介します。
スパークリングワインの製法は3通り:
勝沼ワイナリーでは、瓶差がなく同じ品質の泡が得られることから、3のシャルマ方式を取り入れているのだそう。
シャルマ方式で造られたワインはフレッシュタイプに、2のシャンパーニュ方式で造られたワインは熟成タイプに仕上がります。
テイスティング
ここからはいよいよお待ちかねのテイスティングです。
テイスティング会場に向かうまでの道中にも、マンズワインの魅力がたくさんちりばめられていたので、写真とともに紹介しします。
こちらは、テイスティング会場の入り口の扉。
マンズワインの紋章が描かれていて思わず撮影してしまいました。
隅々まで、細やかなデザインが施されていて、一種のアミューズメントパークのようです。
こちらは庭に展示されていた「ティハナ」
スペインのラ・マンチャ地方で、ワインの熟成や、貯蔵に使用する大きな陶器製のタンクで、現地のワイナリーから贈呈されたとのことです。
テイスティング会場では、スライドを使用して、ここでも詳細の説明を受けながら、試飲をすることができました。
団体で伺ったので、ひとりずつに水のボトルも用意してくださり、きめ細やかなご配慮に感動です。
2023 山梨甲州
1つめにいただいたのは甲州から造られた白ワイン(写真左)。
プレス後の果汁を発酵タンクで2、3週間、澱引きして別のタンクで密閉し、1年熟成させています。
色合いはほぼ無色透明、レモン、ライム、ハーブ、白い花、ほのかな苦味、チョーク、ミネラル感、石、鉱物の香り。
温度があがると、だんだんと香りが開いてきて、白い花のブーケや吟醸香を感じる取ることができました。すっきりとした酸が特徴的で、様々な日本食に合わせやすそうです。
個人的には、もうすぐ届くであろう、ふるさと納税返礼品のすだちをきゅーっと絞った天ぷらに合わせたいと思いました。
2019 ソラリス ユヴェンタ
2つめは、小諸市で造られた赤ワイン、マンズワインのフラッグシップでもあるプレミアムワイン「ソラリス」です。
「ソラリス」のワインは全てぶどうの粒を手作業で選別しています。目的は2つあり、1つめは、機械で取りきれなかったぶどうのヘタからえぐみや雑味が出るので、それらを取り除くこと、2つめは、ぶどうの粒の裏側の色を確認し、完熟度のチェックをしているのだそう。
完熟してないものは廃棄し、収穫時期の9月末から11月半ばまでにおよそ2000万粒をチェックして、高品質な「ソラリス」ワインは造られています。
絞った果汁と一緒に果皮と種もフレンチオークにて樽発酵し、2、3週間で色づき、だんだんと赤ワインに変わっていくなかで、途中マロラクティック発酵を行い、20ヶ月樽熟成を行います。
メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド、土っぽい香り、紅茶、赤系果実の香り。
優しく出汁感のある味わいはまだ青さも感じられるほど軽やかで、あと数年後にも楽しめそうなポテンシャルのある赤ワインでした。
2021 ソラリス 古酒 甲州
3つめのテイスティングは、10年熟成をした古酒甲州。
甲州の熟成、って聞いたことありますか?
わたしは初めて聞きました。
外観は淡いレモンイエロー、ホワイトジンジャー、パウダリー、カモミールの香り。
はちみつレモンのような甘酸っぱさを感じる上品な酸の残った甘口ワイン。甘口だけれど、余韻はすっきりしていて、とても興味深いワインでした。
一般的な白ワインは、熟成と同時に酸化も進むため、そのままにしておくと色も茶色くなり、酸化の味わいが含まれてしまいます。
ところが、この古酒甲州においては、最初にタンクの中から酸素を追い出して、窒素を充満させる特殊な方法を取り入れ、健全な熟成色である鮮やかな黄金色を残しておくことができるのだそう。
JSAのTOPソムリエが「広東料理に最適なワイン」と、評価されたそうで、今度、焼売やワンタン、酢豚などと合わせてみたいと思います。
白加賀梅原酒
4つめのテイスティングはまさかの梅酒。
キッコーマンでは梅酒も造っていて人気なんですよ、とスタッフさんの遊び心で4つめに選んでくださったとのことでした。
確かに冷たくて甘い梅酒は、夏の身体にしみわたりました。
テイスティングには出ませんでしたが、わたしの大好きな泡を紹介します。
すべての日本食に合う甲州のスパークリングワインです。
まとめ
「マンズワイン 勝沼ワイナリー」では、合計4種類のテイスティングを楽しませていただきました。
テイスティングまでのセラーでの説明も大変わかりやすく丁寧で、ワインについての見識を深めることができました。2大フラッグシップの甲州とソラリスをテイスティングリストに入れているところが、さすがだな、と感じました。
ワイナリー見学の他にも、常時約20種類もの有料試飲が可能で、それぞれのプレミアムワインにふさわしいグラスにて提供してくださっています。
テイスティングエリアはゆったりとした空間設計がされているので、時間をかけてワインのテイスティングを楽しみたい人にもぴったりですよ。ぜひ、ワイナリー見学と合わせてお楽しみくださいね。