#映画感想文 「煙突の見える場所」日本映画の凄さを思う。 1953年 五所平之助監督
goo-より。
『文学界』に掲載された椎名麟三の「無邪気な人々」を「二人の瞳」の小国英雄が脚色し、「朝の波紋」の五所平之助が監督した。「春の囁き」の三浦光雄、「吹けよ春風」の芥川也寸志がそれぞれ撮影、音楽に当っている。「夫婦」の上原謙、「秘密(1952)」の田中絹代、「女といふ城 夕子の巻」の高峰秀子、「ひめゆりの塔(1953)」の関千恵子を中心に田中春男、花井蘭子、浦辺粂子、坂本武などが助演する他、文学座の芥川比呂志が参加している。
引用終わり。
NHKで山田洋次が選ぶ日本映画傑作100選でみました。
すごくおもしろかった。日本映画は世界に誇る。黒沢、小津、溝口、川島雄三、成瀬巳喜男。これだけの巨匠が並んだ時代は、世界どこをさがしてもないのです。「煙突の見える場所」が製作された年の1953年には、「恋文」、「東京物語」などが生まれた年でもあります。戦争終了後、8年でこれだけの名作がつくれるようになった日本。奇跡ですね。
戦後の混乱、どれだけ日本人が戦争で大変だったのかということが、この映画で、よくわかります。
北千住にある有名な煙突が見える場所、川向こうに暮らすひとたちの生活。
昔の日本人の長屋の暮らし。まず、鍵なんかない。となりのひとの声が聞こえる。火鉢で料理しているし、戸棚みたいなところから、なんでもでてくるし、バケツでいろんなことしてます。洋服をしまうところなんてないので、みんな部屋のかどに棒をつっかけて、洋服をつらしてます。寒いから、すごい重ね着ファッションです。
ぺらぺらのタイ焼き。それでもごちそう。
昔、赤ちゃんは病気になって、死んでしまうことが多かった。
戦後のどさくさで重婚が多かった。そこからおこる不幸というか、気持ちの行き違いがおこる。
こんな貧しい暮らしのなかで、美しい市井の生活というわけじゃないのが、この映画のいいところです。上原謙が弱くて嫌みでどうしようもない夫を演じています。田中絹代が、やはり、素晴らしいです。はっきりいって全然、美人じゃないですよね。でも、すごい女優です。そして、高峰秀子が、やはり、新しい。今、みてもかわらないというか、今の女性より進んでいる、強く、チャーミングな女性を演じています。
昔の日本人はすごかったなとつくづく思います。
そして、日本映画も。