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乗り換え


降りてすぐ向かい側の電車に乗り換えて、さっきまで乗っていた電車が去って行ったとき、「あっ、行かないで」となぜかいつも思う。

馴染みの電車に一瞬で乗り換えているか、ちゃんと乗り換え案内で確認して乗っているかのどちらかなので、間違っているはずはないのだけれど。


人生は選択の連続である。

手放そうと決めた選択肢がまさにこの手から離れるその瞬間にも、人はつい後追いしてしまいそうになるのだろうか。


私は手放すことが苦手だ。
人との関係を終わらせることも、どこかを去ることも、思えば自分の意志を理由にしてそういうことをしたことはない。
その理由はきっと、この手から離れるその瞬間の逡巡に耐えられないからなのかもしれない。


何かを手放して新しい道に進んでも、人生は電車みたいに、乗ったからといって勝手に進んではくれない。
自分で進もうという意志がないと進まないし、その意志すらないところにはきっと人の助けも無い。


乗っていた電車を振り返ることがなくなったとき、私も手放すことがうまくなるのだろうか。

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