今期アニメダークホース?「ハズビン・ホテルへようこそ」が尋常じゃないレベルで刺さった件
今期どころか、自分の中では早くも2024年ベストアニメが決まってしまった感がある。
今話題のアマプラ独占配信アニメ「ハズビン・ホテルへようこそ」について。
これが普段カートゥーンはあまり見ない私にちょっと尋常じゃないレベルで刺さってしまったのですが、配信限定、かつR指定ということでなかなか語る場がなく…。行き場を失った思いをぶちまけてるので感想なのか布教なのかよく分からんことになってますがご容赦を。
まずは全体の感想
観る前は下ネタ!R18!という情報が先行してて(フィギュアを買う程パンティ&ストッキングにハマってたので、それはそれでそそるのだけど)お下品ドタバタコメディなのかな〜、と思っていざ蓋を開けたら、非常に民度が高くて真摯なストーリーでびっくりした。
カートゥーンだけど、視聴感覚としてはニチアサとかNHK夕方アニメとか野木亜紀子のドラマ観てるみたいだった。
そこにディズニー顔負けの最高ミュージカルシーンに、癖になるキャラとビジュアルが合わさってるんだから神アニメにならないわけないですよね??見始めてまだ数日なのに、もう7周してる中毒性。恐ろしい。
調べたらパイロット版の時から結構話題になってたらしいけど、なんで今まで知らなかったんだ…!と軽く頭を抱えた。
特に刺さったポイント
私の中でのベスト映画、ベストドラマにズートピアとMIU404があるんですが。
この二作品が特に好きな理由が、作品に通底する「他者を理解したいという思い」「より良い世界への祈り」があるからなんだよね。
決して理想的なユートピアではなくて、問題も山積みだけど、そこで主人公たちが立ち止まらずに良い方へ進んでいこうっていう姿勢、そしてそれを肯定的に描いているところが好き。その要素をこのハズビン・ホテルからも感じた。
それからキャラ同士の距離感も現代の作品だな、と思った。ホテルのメンバーは一見家族みたいだけど、あくまでも「ホテルのゲスト」であって、いつかはチェックアウトしていく人たち。
それでも、チェックアウトするまでは人生に関わらせてもらうね、っていう距離感がウェットすぎずで心地よかった。
もう一つ上手いなと思った点だけど、クィア要素が昨今のディズニーみたいに悪目立ちせずに、普通にそこに在る、ていう描かれ方が絶妙。娘にガールフレンドを紹介されて、「お前も女が好きなのか!お揃いだな!」て笑顔でリアクション出来るパパ、コメディシーンというのを差し引いても良すぎる。
そのへんはインディーズ作品だから変な思惑が絡まずに自由度が高い、ていうのもあるのかなあ。
…と、ちょっぴり小難しいことを並べてはみたものの、普通にキャラクターと歌だけでも抜きん出て魅力的なので、下ネタと暴力描写が大丈夫な人は是非見てほしい!
ミュージカル要素について
どうやら作者の方はミュージカルおよびディズニー好きらしく、要所要所に有名作品のオマージュかな?て箇所があるので、まずはYouTubeのMVを見てみると良いかと。
とにかく歌がまじで最高だし全然飽きない。でもって吹替もかなりクオリティ高い。
(グッドオーメンズの時も思ったけど、ネトフリと比較してアマプラオリジナルは吹替クオリティが高い印象)
上田燿司さんがあんなに歌上手いと思ってなかった。お願いだから日本語版サントラも出してくれ公式さん…
キャラクターについて
キャラに関しては本当に、全キャラ愛着が湧くようになってるのが凄い。
私がフィクションを評価する軸のひとつに「すべての登場人物の幸せを願いたくなるか」があるんですが、その点においてかなり満点に近い。
もちろん世界観が世界観なので、外道もけっこう居るんだけど。気が付いたら「なんでこんな外道を応援してるんだ…?」て思いながら見てた。アダムとヴァレンティノ、お前らのことだよ!!!
なお、限りなく箱推しに近くはあるけど推しはエンジェルくんです。この手の悪ぶってるキャラが光堕ちするのに弱いんじゃ…
さて、ここまで読んで少しでも興味が湧いたあなた、アマプラに入りましょう。
アマプラ入るのはちょっと…という方、YouTubeにパイロット版(要は漫画で言うところの連載の前の読切版)があるので見てください。
上のリンクは日本語吹替版(有志作成のものがのちに半公式化したらしい)。
なお原語版も吹替版も、本編と声優が違うので、パイロット版音声が親鳥になっちゃうと困る人は注意。私はそれが嫌で本編から入って、パイロット版はシリーズ途中で見た。
で、これ以降はここまで熱く語るきっかけになった最推しエピソードの第4話についての感想。あらすじの詳細は書いてないけど、普通にネタバレあるので視聴後に読むの推奨です。
4話「仮面」の単話感想
みんな言ってる気がするけど4話がマジで神すぎた。単発回としては個人的に、これまでの人生のアニメトップ10に入る勢い。
正直一周目の3話まではカートゥーン慣れしてないのもあり、テンポが速すぎて??となりながら観てた部分もあったけど、4話は自然と正座前のめりで泣きそうになりながら見てた。
丁度タイムリーに自分が抱えてる問題に通じるところもあったりで…めちゃくちゃ刺さった。「脳が焼かれた」て表現してるオタクを複数観測したけど、そうだねとしか言えない。
前半
ヴァルの暴力描写の解像度高すぎて、後半と別な意味で泣きそうだった。実写の最悪DVドラマで見るやつじゃん…。
一方で、チャーリーが正義感に燃えてお節介しまくって事態を悪化させる流れはプリキュアで良く見るやつで笑っちゃった。
ヴァルに怯えながらも、チャーリーには手を出させまいと必死なエンジェルに胸が痛む…。後半の回になるにつれお兄ちゃんムーブが目立つようになるし、この描写を通して本当は面倒見の良い子なんだなってわかるの良い。この時点では余計に辛さしかないけどな!
それはそうとして、PoisonのMVが魅力的なので視聴者側の背徳感もエグい
チャーリーの反省
チャーリーが踏み込みすぎたって気付いて即自分の非を認め、謝罪の手紙を100通書こうとしてたの、(世間知らずではあるけど)良かった。流石2話でごめんなさいの大切さを説いた女。
そこから「境界線」について学ぼうとするのもシナリオに対する信頼感アップ。
エンジェルの本音
バーに助けに来たハスクにエンジェルが絞り出すように本音を吐露するシーン、貰い泣きするところだった。個人的にここは吹替版の演技がより胸に迫ってきて好き。
ハスクが「ホテルの奴らはお前が誰かなんて気にしちゃいない」って言うところはベタな台詞だけどその言葉が欲しかった!!て拍手しちゃった。
Loser, Baby
歌詞も低音&高音ボイスのハーモニーも雨に唄えばオマージュな演出もただただ最高でしかないのであまり語れることがない…。なんも言えねえよこんなん…。
どん底から這い上がるのではなくて、どん底の中にある希望を見出してるところが素晴らしい。吹替版歌詞の「明日は変わるかも」の「かも」もだからこそ尊いよなありがとう!!てなる
あと細かいところだと、ハスクがナチュラルにスイング効かせて窓破壊してるところ(あれ、中で何してたん…?)と、エンジェルの手を取るのではなくて、あくまでも差し出して応えてくれるのを待ってるところが良い。
からのヒャッハー展開
良い感じにデュエットして、ホッコリ締めると思いきやきっちりマフィアはミンチにしとくね!!て流れ、最高。さっきから最高しか言ってない。最高って200種類あるからええねん。
ここでちゃんと「自分の面倒は自分で見れる」というエンジェルのセリフがただの強がりじゃないんですよ、て示されるの構成が上手い。そうだよね、彼はただの悲劇のヒロインじゃないから。
エンジェルが明らかにハンマースペースからライフル出すのおもろい。まあニチアサなら当然それくらいありますよね。
あとライフル撃ってるとこのBGMがLoser, Babyのアレンジなのも良き。
ラストシーン
ラストがお後がよろしいようでというか、Loser, Babyの前後の対比になってて、すごく綺麗で好き。
中盤は気まずそうにしてエンジェルに話しかけられなかったチャーリー → 抱きついて子供みたいに泣きながら謝る
助けなんていらない、と言ってたエンジェル → 気にかけてくれてありがとう、て言える
現実逃避のアルコールとしての酒 → 友人と語るための酒
ハスクとエンジェルが笑顔でフレームアウトしてED入るところまで、文句の付け所がなく美しい締め。
まとめ
私は「いつか万が一死にたくなってしまった時にやる事リスト」ていうのを作ってて、要は好きなことリスト兼、精神のお守り的なものなんだけど。その中に加えるぐらい、自分の中で大切なところに仕舞っておきたい回だった。
ちなみに他にそのリストに入ってるのは、
「香川の豊島美術館に行く」とか、
「星野源『アイデア』のMVを見る」とかです。
思えば「アイデア」の歌詞の世界観もちょっとだけハズビンぽいよね…。「中指」てワードあるし。