AVに出そうになった話

これは私が仮面浪人していたころの話。
大学入試が終わって帰路についていたときに新橋駅のホームで男の人に声をかけられた。最初は私が覚えていないだけで知り合いかなぁと思って立ち止まった。話してみるとどうやらスカウトマンらしい。内心、面倒なのに捕まってしまったなぁと思いながら、とりあえず連絡先だけ交換してその場を後にした。

面倒なのに捕まってしまったと思いながら交換した連絡先に連絡をしてみた。そしたら一度会って詳しい話をしたいと言われて会う約束をした。

スカウトマンと新橋で会う日が来た。新橋駅の改札口を出たところで待っていたらスカウトマンがきた。よく見るとかっこいいスカウトマンだなとか思いながらカフェへと向かった。
カフェについて詳しく話していくうちにどうやら風俗関係ではないことがわかったが、AVの話なのではと思った。
ただそこでAVだと気付いていながら抵抗なく話を聞き続け、色んな子が所属しているという事務所でもっと本格的話を進めようとなった。
なぜ私は抵抗なく事務所まで行ってしまったのかは今でもよくわからない。

場所を事務所に移して本格的にAV出演に向けての話をされた。
まずは宣材写真の撮影の日程を決めた。

宣材撮影の前日からスカウトマンと夕飯を食べてホテルで一泊した。このとき当たり前の様にスカウトマンと寝た。今でも忘れない。朝起きてすぐにお目覚めのキスをされたことも。
恋愛感情はなかったもののこういうのは嫌いじゃない。
これはきっと当日に逃げられないためのものでスカウトマンからしたら当たり前のことなんだろう。
そして、実際に宣材写真の撮影に行って綺麗に化粧してもらって撮影もした。そのときに事務所との契約書にもサインをした。

それからAVメーカーとの面接までは踏みとどまるところがあってしばらく考えさせてもらっていた。
1ヶ月半くらいが経ってからどこか自分の中で何かが吹っ切れてAVメーカーとの面接に行くことにした。
面接では、今までの性体験、趣味などを聞かれた。私は塾で講師兼事務をやっていたこともあって、そういうプレイのAVが撮影できそうだねと言われた。バイトの経験がここで生きるのかと思った。
それからもう三社面接に行って色々聞かれたり、裸体を撮影されたりもした。
当時の私はなんの躊躇いもなく脱ぎ撮影に挑んでいたが今はとてもじゃないけどできない。

ここまで本格的に面接などをやってきたが長い人生のことを考えてみるとAV出演は自分の人生を大きく変えてしまうと思い事務所との契約を切りAV出演は辞めた。

AVに偏見があるわけじゃないけど、やっぱりどこかでやってはいけない仕事感があって踏み切れなかった。
いや、踏み切れなくてよかったと今は思う。

自分とは絶対に関係ないと思っていた世界のことを少しだけ知れてよかったようなよくなかったような…そんな話でした。

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