【書籍紹介】キーエンス解剖 最強の所以が分かります
最近読んだ本でめちゃくちゃ面白かった本の紹介です。
社会人なら名前は一度は聞いたことがあるであろう「キーエンス」。平均年収が2,000万円超と高給取りで有名。激務という噂も独り歩きし、30代で家がたち、40代で墓がたつという有名な言葉も・・・
そんな謎の企業キーエンスの事が本を通じてよーく分かりました。そしてその凄さも理解できました。
<キーエンスの凄さを一言でいうと>
仕組みが秀逸過ぎる
流石、日経ビジネス記者と、ほれぼれする程しっかり研究されているので、是非本書を一読と思いますが、僕が本書を読んでは面白い、そして凄い!と感じたエッセンスを幾つかご紹介します。
キーエンスの凄さ ~数値面~
上記はキーエンスの時価総額。
時価総額とは、上場している会社の発行済株式数と株価を掛け合わせた際の企業価値のこと。キーエンスはなんと時価総額17.8兆円(2024年5月17日現在)。1位のトヨタ、2位の三菱UFJに続き、なんと日本のなかで3位!!
あのソニーやNTT、日立よりも上なんです。この凄さをどれほどの日本国民が認識しているのでしょうか。。。
これは「売上高営業利益率」の数字。これがどれだけエグイ数字かはピンとこない方も多いかもしれません。営業利益率10%超えで優良企業と呼ばれるところが多い中、メーカーで圧倒的です。同じ優良上場メーカーでいうとファナックが25%、オムロンが11.7%、製造業平均では5.2%です。
これは「自己資本比率」の数字です。自己資本比率とは企業の持っている純資産を総資産で割った数値。つまり借入が殆どなく、資産ほぼ全てが純資産という、この規模であり得ない超優良財務体質。上記同様に比較すると、ファナックが86.1%、オムロンが45.7%、製造業平均では49.4%です。
金融会社で長年働いていて、色々な業種、企業の財務を見ていますが、唯一無二といっていいほど、知れば知る程凄い会社なのだと分かります。
粗利8割が目安
上記で述べた、他社を圧倒する営業利益率。これはキーエンスの商品開発に秘密があります。
商品開発する時点で粗利8割を目安にすすめるため、必然的に高水準の粗利が確保できる。言葉で聞くとあたり前ではあるが実際は普通は出来ません。
「どういう商品を開発するかを、お客さんから言われて決めているようではすでに遅い」キーエンス創業者である滝崎氏は日経ビジネスの1991年当時のインタビューでこう述べています。
それを「ニーズカード」と呼ばれる営業マンが顧客から聞いた新製品のヒントを大量に持ち帰り、星の数ほどあるニーズカードの中からダイヤモンドを見つけ、製品化。自社で工場を持たないファブレス経営も営業利益率が高い要因の一つです。
キーエンスの異常なまでの営業利益率の高さは、先鋭的な営業部隊、商品開発、製造工程の構築が出来てはじめて成しえるものと理解しました。これぞ正に圧倒的な仕組み化。他社がやりたくても真似できないレベルで完成度が高いです。
ロープレ1,000本ノック
僕も同じ営業なのでロープレの大切さはよく理解しているつもりでした。
ただキーエンスのロープレは次元が違っていました。
ロープレは筋トレ
キーエンスのロープレは、相手はどういう立場の人なのか、何回目の商談か、時間は何分取れるのか、と様々な場面を想定し毎日筋トレのように繰り返されるのです。
ロープレには台本はあり、相手の属性や人によって内容を変える応用編もあるという。恐ろしいほど合理的。
確かに事前にロープレを繰り返す事で商品知識の理解が深まり、想定される質問の準備も出来る。そして次の商談に結び付けるゴールをきちんと理解したうえで万全の準備で臨めば、成功率は圧倒的にあがる。
キーエンスの営業はアポは1日5件、1分単位で書き込む外報あり。この効率的なアポ訪問を実現するため、外回りは週2~3日に留め、残りはアポ取りや商品知識の勉強などに当てるといった合理的さ。自分はちょっと息が詰まりそうですが・・・
こんなレベチな活動を数年やるだけで、別のどんな組織へ行っても活躍できるスーパー営業マンになるなと安易に想像できますね。
是非、一読を
この本は面白すぎて1日で一気に読んでしまいました。日経ビジネスの記者の編集能力の高さ、インタビューの質の高さが、ブログを書いている身となり、よく分かるようになりました。やはりプロは凄い!
キーエンスは売上は7,551億円とソニーなどの巨大メーカーと比較すると売上規模はまだ小さめ。ただ中国はじめグローバル売上が急速に伸びてきており、2022年3月期の海外売上高比率は58.9%と既に国内を上回っています。今後の更なるグローバル展開にも注目です。
この日本が誇る圧倒的な高収益企業キーエンスから、今後も目が離せませんね。
また面白い書籍あったらご紹介します!