”ことわざ”は仕事の本質【教師の失敗談】
「実際、よくあることだよね~」
ということが何百年と語り継がれてきたから、令和の時代にも”ことわざ”が残っているのだと思う。
今もなお辞書から消えることない”ことわざ”は、世の本質を表している。
逆に「実際、あんま無いよね。」という”ことわざ”は語り継がれることはなく、消えた言葉もあるらしい。
この記事では、”急がば回れ”という”ことわざ”を痛快したエピソードを紹介します。
教員のみなさま。
「あほやな~、自分は絶対に気を付けよう。」という気持ちで読んでください。
■急がば回れのメカニズム
忙しくて脳疲労状態のときに仕事にミスが生じる。授業からの部活からの事務作業。20:00以降の仕事はダメだ。脳がとろける。
早く仕事を完了させたいと思う。スピード重視で作業をすることになる。スピードに全振りした結果、気付かないうちにミスが起こる。
ミスをしてしまうことで、ミスを修正する対応や謝罪、再発防止案を考えたりなどで余計時間がかかってしまう。
これが急がば回れのメカニズム。
そして、一番マイナスなのは、生徒と保護者の信頼貯金が減ることだ。
■ミスした事例
起こしてしまった事例を簡単に言うと、クラスメイトに個別に送る書類をAさんとBさんで中身を入れ違えて送ってしまったということだ。
「私のものじゃなく、クラスメイトのBさんのファイルが封筒に入っていたんですが・・・」という電話を生徒(Aさん)からもらい、事体が発覚した。あのときは電話口でマジで焦った。
なぜ起きたのか。
■事例の背景
僕のクラスはコロナ渦の影響をモロに受け、学級閉鎖になった。3年生の2月に学級が閉鎖されるのは進路の事務が滞るという点で、かなり痛手だった。
公立高校を受検する生徒は願書を書かなければならない。閉鎖明けに願書を書くようでは出願期日に間に合わない。願書点検などもあるため日程的に余裕がなかった。
そこで、僕の学年は白紙の願書を封筒につめて、各家庭に郵送することにした。家で書いてきてもらい閉鎖空けにすぐに回収することが目的だ。
そのときの学校は疲弊していた。全職員の20%の教員は陽性者や濃厚接触者となったため欠勤していた。人手が足りていない状態の上に通常授業の他にオンライン授業を行う必要があったので、加速度的に疲労していた。
yahooニュースで、教育現場の記事があったが、ニュースの通りで現在はかなり厳しい状態であった。本当にやることが多い。脳疲労の状態だった。
僕は夜の8:00から封筒詰めの作業をしたのだが、その作業で封筒の中身がAさんとBさんとで入れ替わっていたのだ。全く気づかなかった。
夜の9:00までに郵便屋に行って郵送するという時間制限もあったため、焦って雑な仕事をしていたのだと思う。
■生徒と保護者への対応
とにかく入れ違いが起きたAさん、Bさんの両家に謝罪した。時系列でまとめると
グループ通話アプリでを通じて、閉鎖中の他の生徒に、封筒の入れ間違いがあったことを伝え、きちんと自分の封筒が届いているかどうかの確認を1人1人した。(結局Aさん、Bさんの中身トレードだけだった。
Aさん、Bさんにすぐに謝罪の電話をいれた。
事例の全貌を把握したうえで、僕と管理職(校長先生)が一緒にAさん、Bさんに家庭訪問し、再び謝罪した。
■不幸中の幸い
幸い、願書は白紙のままなので、AさんとBさんの住所などの個人情報が洩れることはなかった。どこの高校に出願するかの志望校も洩れることもなかった。
ただ、志望校が印字されている願書を郵送している家庭はいくつかあったので、もし仮に”志望校が別のクラスメイトに知られた”という事態になると、生徒はショックを受けると思うし、より状況は厳しくなっていたと思う。
Aさん、Bさんの保護者から「個人情報の扱いどうなっとんじゃ!!!」という怒りを受け取ることは全くなかった。
Aさんも、Bさんも僕のことが嫌いではないし、普段から関係良好だったので、これを機に僕が責められるということもなかった。
反対に、オンラインで先生が激務ということを心配してくれる生徒たち(AさんとBさん)だったので「先生、大丈夫ですか?休んでくださいね」と言ってくれた。
なんて優しい子だ・・・。生徒の言葉に、精神的にも救われた。
生徒と保護者に救われて事なきを得たという事例だった。
■ミス防止策(早く帰る教師術)
封筒に入れるものと宛名を別の先生にも確認してもらうなどの二重チェックを行う
個人情報に関わる書類は郵送しない。顔を見て、手渡しをする手段を選ぶ
二重チェックは必ず行った方がいい。対面なら取り返しがつくことでも、コロナ渦でのオンラインコミュニケーションでは、一方通行なやりとりとなり、取返しのつかないことになりかねない。
慎重に行うべきである。1人チェックは漏れが生じる、と心に刻もう。二重チェックをすると、時間はかかるが、トラブルの未然防止になるため、結局でトータルで時間はかかりにくい。
そもそも個人情報を郵便物で外に出すことはリスクがあるので、極力やらない方がいい。学校まで保護者に取りにきてもらうか、登校日に生徒に手渡しするかという手段をとるべきだった。
今回、私立入試の受験票を同封するという考えもあったが、さすがにそれは辞めた。受験票はめちゃくちゃ大事なものだから、手渡しするという方針で学年で決めたからだ。願書も手渡しすればよかった。締め切りに焦ってしまった。
「急がば回れ」。古くから伝えられているこの”ことわざ”は仕事の原則だということを、痛みとともに胸に刻まれた事例だった。
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