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[小説] だから尻尾を振ったんだよ。
〜 思春期・散歩編 〜
06. 忙しい
ボクの小さな友達はいつの間にかぐんぐん大きくなって、学校に行っている時間も長くなった。
バレーボール部に入っていて、酷く落ち込んで帰ってくる日もあったな。
散歩にだって昔のように行ってはくれない。
お父さんとの散歩ばかりになっているけど、実を言うとその方がぐんぐん引っ張っても気を使わなくて良かったりする。
そしてボクはわかっている。
忙しくて面倒臭がっていても、ひとたび散歩に出ればちかちゃんがいい顔になる事を。
散歩紐だって、お父さんの時より優しく引っ張ってあげる。
「久しぶりに二人で散歩、楽しいね!!」
そう言いたかったけれど、ボクは人間の言葉を話せない。
だから尻尾を振ったんだよ。
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