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好きなことに、理由はいらないよね
わたしはもともとヲタクだった。
寝る間も惜しんでアニメを観て、漫画を読んで、絵を描く。そんな生活を送っていたし、本当に心から好きだった。
でも、いつしか自分の好き、がわからなくなった。
このタイトルを言えばディスられないんじゃないかとか、教養としてこのアニメは観ておこうとか、打算的にアニメを消費するようになった。
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好きが、わからなくなったのだ。**
今、ツイッターを見ているだけでも大量の情報が目に飛び込んでくる。
そんな情報の渦のなかで、わたしは好きなものがどんどんわからなくなっていった。
映画はこれがたまらなく好き、この作家さんの作品はぜんぶ読んでる、料理をとにかく愛してる…
そんな、まわりの友だちの「好き」に耳を傾けながら、はて、わたしは何が好きなんだっけ、と折に触れて考えるけど、好きな食べものくらいしか出てこなかった。
何ならずっと大事にしている声優の夢も、そのひとつかもしれなかった。
今はアニメをそこまで観るわけじゃないし、もしかしたら幼い頃の夢にしがみついているだけなんじゃないか、と疑う日もあった。
そんな今日、朗読の授業があった。
ショートストーリーを読んで、自分が感じたままの気持ちをのせて読む。
先生からのフィードバックをもらう。
自分のポジションに戻り、座る。
自然と涙が溢れた。
側から見れば、テキストを声に出して読んでいるだけである。それが、なんでこんなに楽しくて嬉しくて胸がいっぱいになるんだろう。
教室の隅で涙を拭いながら、やっぱり好きだなぁと思った。
そして、なんで好きなのかはやっぱりよくわからないなぁと思った。
好きって、理由がないのだ。
ただ、日々のなかで無意識にやってしまったりだとか、心があったかくなったりだとか、明確な理由はわからないけど、そういうものなのだ。
ちょっと見つけるのはヘタかもしれないけど、ひとつだけあったからとりあえず良しとしておこう。
理由もないしよくわからないけど、そっと大事にしておこう。
なんで好きなのか、なんて考えなくていい。好きなものは好き、それでいいよ。
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