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会社を辞めて4年。わたし、夢物語を現実にしてたっぽい

四角大輔さん。

会社員時代はプロデューサーとして絢香やSuperflyをヒットに導き、現在はニュージーランドの湖畔で暮らし、釣りをして自給自足生活を送っている…といういろいろ規格外な方。

登山や釣りが大好きで、アウトドア界隈でも引っ張りだこ。10冊以上の書籍も執筆する作家としても有名。雲の上のような人である。

わたしは2018年、新R25に入社したてのころに四角さんにインタビューさせていただいたことがある。

当時、四角さんのイベントに参加する機会があり、大きなスクリーンに映し出された美しいニュージーランドの湖畔の前でノートパソコンを広げて仕事をしている写真を見て、「冷静に意味がわからねぇ」と思ったのがきっかけだった。

喧騒や無駄がないノイズレスな暮らし。自給自足でお金のかからない毎日。遊ぶように仕事をすること。

どれも耳障りはいいけれど、ぶっ飛びすぎて「いいな!真似したい!」という気持ちよりも、「普通の人には無理じゃね?」という気持ちが圧倒的に勝ってしまった。

そこで、そんな夢物語のような生活を送る彼に、いろいろ突っ込ませていただこう!という企画を立てた。

運良く四角さんが来日しているタイミングで、仕事と仕事の隙間を縫って取材をさせていただいた。おしゃれなカフェに、颯爽と現れる手ぶらでミニマルスタイルの四角さん。

わたしは質問をぶつけた。

旅をしないと自由になれないの?

「心の声」ってなに? どうやって聞くの?

持っている釣竿は50本、マウンテンバイクは3台。全然ミニマリストじゃなくない?

なんで「外国の赤ちゃん」が表紙の本が多いの?

四角さん、ニュージーランドに移住したのに来日しすぎじゃない?


今見ても大変失礼極まりない質問ばかりである。

そんな失礼オンパレードな取材にも関わらず、四角さんは一つひとつ丁寧に答えてくださった。

たしか、取材がおわったのが17時ごろで、「いいな、このまま四角さんはこの身軽な姿で好きな場所に行くんだろうな」と思いながら、重たいリュックを背負い直して会社に戻ったのを覚えている。

録音された言葉を何度も聴いた。原稿を書いた。いい感じに仕上がった。ただ、わたしが四角さんの言葉を隅々まできちんと理解できていたかはわからない。

やっぱり、当時の自分にとっては自由に生きることは、フワフワとした夢物語のように見えたし、お話を聞いてみると、四角さんはこの自由な暮らしを手に入れるまでに15年をかけたと言っていた。

やっぱり自由になるにはそれ相応の時間がかかるのだ。たくさん身につけるべきことがあるのだ。

だから、もしも自分がそこに行き着くには、30年ぐらいかかるんじゃないかと、あまりの果てしなさにちょっぴり絶望した。

それから半年後、わたしは意を決してフリーランスになるわけだが、当時のわたしは知る由もない。

あの取材から4年が経ち、先日久しぶりに四角さんに会った。

たまたまわたしの書籍出版イベント会場に、別の用事で来ていたのである。

積まれている本の著者名を見て、「あれ、この名前は…」と声をかけてくれた。覚えていてくれたのだ。わたしのことを。

ちょっとだけお話をさせていただいて、「いつかビッグになると思ってたよ!」なんて嬉しい言葉をかけてくれて、新刊の本をプレゼントしてくれた。

帰り道、ふと思い出して当時自分が書いたインタビュー記事を読んでみた。

非日常体験を積むこと。

感じたことをメモに残すこと。

不要なものを捨てること。

欲望のままに生きること。

年収を下げて生活を豊かにすること。

あれ。

四角さんが言っていたこと、スケールは違えど、全部なんとなく実践できてるぞ。

気付けば47都道府県をリュックひとつでまわり、日々小さなインプットとアウトプットを繰り返し、ローコストローインカムでワガママに生きている自分がそこにいた。

あの日夢物語だと思っていたことは、気づけばとても現実味を帯びていて、あの日もらった言葉たちは、もしかしたら自分のなかで生きていて、自然と行動に変換されていったのかもしれない。

フリーランスになる前から今に至るまで、本当にいろんな人に取材した。いろんな言葉を受け取った。いろんな本を読んだ。いろんなことを知った。いろんなところに出向いた。いろんなことをnoteにしたためた。

それがいつしか勇気になって、「そんなの無理だよ」と言っていた自分の背中を押した。

たかが4年、されど4年。

わたし、あの話が夢物語じゃないって身をもって証明しちゃったよ、四角さん。

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