広報に必要な「編集力」って?出版社の“ひとり広報”が語る、コンテンツ作りの極意
最近、出版社「クロスメディア・パブリッシング」の広報がすごいんですよ。広報メディア「クロスメディアン」を立ち上げたり、YouTubeチャンネル「クロスメディアTV」を立ち上げたり、Podcastをやったり。
しかも、驚くべきなのが広報体制が「ひとり広報」というところなんですよね。えぇ!これだけの発信をひとりでやってるの!? にわかに信じがたいよ!
…ということで、今回はクロスメディア・パブリッシングのひとり広報である濱中はるかさんをゲストに、「新しいメディアの作り方とキャリアの描き方」をテーマに編集者・広報交流会を開催しました。
初めての広報。何から始めた?
事業内容に惹かれてクロスメディア・パブリッシングの門を叩いた濱中さん。もともと本の編集に興味があったけれど、新卒から編集を任せてくれるような会社はなかなかない…。そんななかで見つけたのがクロスメディア。
しかし!配属されたのはまさかの広報。社会人経験ゼロ、広報経験ゼロ、業界知識ゼロのところから広報キャリアがスタートします。
濱中さんが思う、広報に向いている人の条件は3つ。
まったくの未経験で広報になった濱中さんでしたが、「これを持っていたから広報として走れたのかも…」と振り返ります。
とはいえ、一概に広報と言ってもやることが多すぎる!
などによっても、やるべきことは変わってきます。
そのなかで何から着手すればいいかと言えば、“「経営で1番課題に感じていること」 を広報の力で解決するために、どうしたら良いかをまずは考えればいい。”とのこと。今売るべきものを売ればいいし、SNSが弱いならSNSを頑張ればいい。そんなメッセージを濱中さんは残してくれました。
とはいえ、クロスメディアは出版社。社長が「裏方思考」だったこともあり、発信に前向きになってくれるまでに3年がかかったそう。メディア化の必要性を伝えられなかったり、PV数が増えたりしないことにも不安が募る一方。
さらに、広報は成果が見えにくい仕事でもあります。一時期は社内で「この人は何をやっているんだろう…?」となってしまったり、手当たり次第やってみてもすぐに成果が出なかったりして、社長に泣きつくことも。
▲ちなみにこの本は、濱中さんのために作られたと言うエピソードもあるぐらい
メディアで作っているコンテンツは?
現在運営しているのは、広報メディア「クロスメディアン」とYouTubeチャンネル「クロスメディアTV」。
記事コンテンツは月に8本配信。社員インタビューやイベントレポート、社長や編集者の連載などのコンテンツを、オウンドメディアとnoteの両方で配信しているそう。
動画コンテンツは月に3〜4本配信。社長や社員、ビジネスパートナー(著者)など、さまざまな人が出演されていますが、なんとリアルさを重視してiPhoneで一発撮りをしているのだとか…!(そうは見えないクオリティ)
長く楽しんでもらえるように、トレンドに囚われずに1年後に見ても楽しめるコンテンツを意識されているそうです。
また、Podcastは忙しい経営者の方にぴったり!音声メディアは、今後も可能性を感じられるメディアのひとつだそうです。
一方で、さまざまなメディアを作っても、爆発的にPVが伸びるわけではありません。そんななか、濱中さんは「ミスマッチのない採用」をKGIに置き、KPIを配信本数に置いて、とにかく継続的に更新することに注力しているのだそう。
コンテンツ作りで大事にしていることは?
編集とは、相手の魅力や相手の頭の中を言語化する仕事。著者の言葉を引き出して編集する、社内の編集者の仕事を見ているうちに、「経営者や社員、そして著者の言葉を引き出して届ける」広報の仕事と共通点があると感じたそう。
濱中さんが思う広報における「編集力」は「企画力」と「制作力」に分解できると言います。切り口を考える力と、見せ方のパッケージを考える力。本当に届けたい人に深く刺すために、コンテンツ作りの際は下記のことを意識しているのだそう。
クロスメディアでは出版社としても、有名人の人ばかりにオファーするわけではありません。全然無名の人が著者デビューすることも。それは広報におけるコンテンツ作りでも同じで、人に頼るのではなく、「テーマ」を尖らせることを意識しているのだそう。
ほかにも、誰でも読めるオープンな場でありながら「出し惜しみ」しない大切さや、バズを狙ったゴシップ的なコンテンツにならないようにしているのだとか。
また、採用広報コンテンツとして代表的な「社員インタビュー」は、すでにあるインタビューの質問テンプレートをなぞるのではなく、「この人はこれが語れるんじゃないか」「これを大事にしているんじゃないか」とその人をリスペクトしながら仮説を立てて、“ならでは”のインタビューができるように意識しているのだそう。勉強になる…。
最後に、広報を頑張る人にメッセージ
最後に広報を頑張る方に向けてこんなメッセージが。
「凹むときは、PDCAのPをやっているとき。でも、実際にはDをやっているときが1番コンテンツが生まれるので、ぜひDDDDでやってみてください。そして、“なんでも面白がる力”が広報ではとても活きます。人を面白がれるのはひとつのスキルなので、編集者も広報も楽しめるんじゃないかと思います。
最後に、自信を持つこと。PRしたいものが持っているポテンシャルを信じ切ることができないと、PRはできません!まずは自分がその商品やサービスを好きになってください。」
濱中さん、素敵なお話をありがとうございます!
おわりに
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