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りゅうちぇるさんへの取材を終えて。「自分」を手放してしまったすべての人へ
本日満を持して、りゅうちぇるさんの取材記事が公開されました。
もうりゅうちぇるさんと言うのがしっくり来ない…いやりゅうちぇるさんなんだけど、私にとってはりゅうちぇるなんです!(笑)
そんなわけで、今回はご縁があってりゅうちぇるに取材をすることができました。あんまりこんなことを堂々と宣言するのもおかしいけど、多分記事を読んだ人にはバレバレだと思うので言います。
わたしは、りゅうちぇるのファンです。
個人として、ものすごくりゅうちぇるを尊敬しているし、応援しています。
それには、今回取材をするにあたり、特別な思いがあるのでちょっとだけ語らせてください。
私は、りゅうちぇるとは少し違い、中高生の頃はのびのびと好きなことだけをして生きていたタイプでした。
大好きなお絵かきをしたり、本を音読したり、決して目立ちはしないけど、ひとりで自分の世界に入るのが大好きだった。
父親の都合でアメリカに転校することになった中学生の頃は、さすがに異国での孤立を恐れて周りと関わることをはじめたけど、それでも家に帰ったらひとりで黙々と創作に勤しんでいました。
それが、覆されたのが大学生のときです。
日本に帰国したわたしは、かなり浮いていました。自由に好きな服を着て、好きな本を読んで、好きな音楽を聴いて、好きなことをやる。
それが今まではまったく普通のことだったのに、周りを見渡せば同じようなかわいい服を着て、同じような本を読んで、流行りの音楽を聴いて、共通の話題で盛り上がる人たちがいました。
『〇〇を読んだこと、ないの?』『〇〇って流行ってたじゃん、知らないの?』『その服、すごいね、着るの勇気いりそう』
そんなことを言われて、わたしは思いました。
あぁ、周りに合わせなきゃ友だちができないんだ!
知らないと話題に入れない。知らないと孤立してしまう。知らないのが恥ずかしい。
だから、流行りの音楽を聞いたり、全然好きじゃないけど人気の本を読んでみたり、苦手な飲み会にも顔を出すようにしました。日本を離れていた4年間の空白をうめるように、とにかく普通の人レベルになれるように、たくさん吸収して、普通になれるように努力しました。
なんだろう。『それっぽく』振る舞いました。
何なら、中学生の頃からずっと抱いていた「声優」という夢も、普通の環境で過ごしているうちに、なんとなく手放してしまいました。
でも、そうやって過ごしていくなか、就職活動で「好きなもの・趣味」の欄をうめるとき、ふと考え込んだ自分がいました。
あれ、わたしって何が好きなんだっけ?
好きなアニメは〇〇って書いておけばきっと『わかる人だねぇ』って言ってもらえる。好きな作家は〇〇って書いておけば高評価だろうな。
そんな考えは頭に浮かぶのに、それを果たして自分が好きかどうかが全然わからない。
好きなものが、わからない。
それでもなんとか自分を納得させて、就職を終えて社会人としてなんとなく生きるなか、わたしはりゅうちぇるに出会いました。
『大学生のはじめの頃はわたしもあんな格好で原宿を歩いていたなぁ』なんて思いながら(原宿系が好きだったんです…)、最初は面白い人、ぐらいの気持ちでりゅうちぇるのことを観ていました。
それが、ハッキリとわたしの中で特別な存在になったきっかけが、とあるドッキリの番組です。
ドッキリで事務所の先輩が
『パパになってもそんな感じでいるの?子どもがかわいそうじゃん』
とりゅうちぇるに心ない言葉を投げかけたのです。すると、今までどんなに失礼なドッキリを仕掛けられてもヘラヘラとしていたりゅうちぇるが、すごく真剣な顔になって言いました。
「人に何を言われても、自分をしっかり持つ姿を見せて、人に合わせないで、自分の好き嫌いをしっかり表現できる子に育てます。恥ずかしいって思うような子には絶対に育てない」
「偽りの自分に慣れたら、人に何も教えられない」
それを聞いたとき、あぁ、これは自分が大学生になったとき、人に合わせて手放してしまった「自分」だ、と思いました。
それから、しばらく経ちますが、私は「自分らしさ」を取り戻せたのか、わかりません。今でも、周りに流されて「好き」をなくしてしまった過去の自分を責めることもあります。
わからないなりに何かしなくちゃ、と思い、
今年、わたしはもう一度声優になるために養成所に入りなおしました。
好きだったイラストをもう一度始めるために、iPadを買いました。
言葉で気持ちを伝えたくて、ライターに転職しました。
それでもやっぱりあの頃みたいには戻れない自分の背中をちょっとだけ押してほしい。
「自分らしさ」を忘れてしまったわたし、そして誰かへ勇気を届けてほしい。
そんな気持ちでりゅうちぇるに取材をしました。
彼が紡ぐ言葉はどれも自信に満ちていて、それはきっと彼が、誰もが経験する「自分を封印した時期」を乗り越えたからこその強さなのだと思いました。
取材中、りゅうちぇるが投げかけるすべての答えがなんだか自分に言われているようで、何度も必死に涙を堪えました。
「これは仕事だ!」と思いながら、目を逸らさずにじっと真剣に答えてくれるりゅうちぇるにまた泣きそうになりながら、90分間お話ししました。
自分で取材しておいてアレですが、きっとこの記事は私の一生のお守りになると思います。
誰かにとっても、この記事がお守りになって、「自分らしさ」を取り戻すきっかけになったら嬉しいです。
読んでくれて、ありがとうございました。
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