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街から飲み会が消えた日


わたしはもともと、飲み会が好きじゃない。

ザワザワしているから、隣の人になにかを伝えるにも声を張り上げないといけないし、「なにを言ってるんだかわからなかったなぁ」って話題にもなんとなく笑顔を作らないといけないような気がして。

一時期は仕事おわりにスマホを見れば、いろんなところから飲みの誘いが来ていたけれど、今はそれがぱったりと止んでいる。

それはもちろん、わたしが断りつづけた結果でもあるし、コロナ禍で飲み屋があいていないというこもある。

それがひどく寂しく感じる。

一時はけったいに感じていた飲みの誘いも、今となってはとても愛しい。

わたしがいた会社ではサークル活動が盛んで、サークル員もとても仲が良かったので毎晩のようにどんちゃん騒ぎをしていた。

でもそれが、ひとり、またひとり、と会社を離れていって、気付いたら「今日はいつもの場所に集合ね!」なんて気軽に集まれなくなっていた。

もう本当に、死にたくなるぐらい寂しい。

あんなに毎晩のように開催されていて、「元気だなぁ」なんて思っていたのにな。

気付けばみんなバラバラで、気付けばみんなきっと、違う楽しみを見つけている。

閑散とした渋谷の道玄坂をひとり降りる。

ほんのちょっとだけ帰りたい。あの騒がしい街に。みんなが同じ方向を見ていた、あのころに。

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