幼なじみ

幼なじみが死んでしまった。まだ40才にもなっていないのに。
子供は、2才と4才。
偶然にも、私と一緒。

「戒名に萬福という文字を入れました。いつも温厚で穏やかで、人に幸せを与え続けておられましたから。」

坊さんの説法が響くお堂。
わたしの隣では、もう一人の幼なじみがすすり泣く声が聞こえる。
3人の幼なじみ。

ジージージー。
蝉じゃない虫が鳴いている。何かはわからないけれど。
夏の終わりの気配が充満していた。
長袖の喪服でも暑さを感じない。

弔問客の顔や、生前のエピソードから、
彼の純粋だった心のうちが伝わってきて、
お葬式なのに、晴れ晴れしい気持ちになった。


小学校の帰り道。3人でじゃんけんしながら帰ったね。

じゃんけんぽん。パー
勝ったー。
パイナツプル。
じゃんけんぽん。チョキ
チヨコレイト。
あー、待ってよ、よっちゃん。
じゃんけんぽん。
じゃあ、戻るわ。
チヨコレイト。
よっちゃん、やさしいね。
じゃんけんぽん。
グリコ。わーい、みんな一緒になったねー。
ふふふ。
あ、この曲がり角でばいばいだねー。
また、明日ね。
またね。
ばいばーい。
ばいばい。


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