Stanley Turrentine Sugar
ジャズファンの間で足舐めと呼ばれることで知られるスタンリータレンタインのCTIレーベルにおけるヒット作「Sugar 」
メンバーはスタンリー・タレンタイン(ts)、フレディ・ハバード(tp)、ジョージ・ベンソン(g)、ロニー・リストン・スミス(el-p)、ブッチ・コーネル(org)、ロン・カーター(b)、ビリー・ケイ(ds)、リチャード・パブロ・ランドラム(conga)という錚々たる面子で、これはCTIオールスターズと言っても過言ではないだろう。
スタンリータレンタインは豪快なブロウとハスキーなサウンドで人気を博し、ブルーノートでストレートアヘッドな4ビートのジャズに始まり、クロスオーヴァー、フュージョンと時代に合わせサウンドを変えながら、長く活躍したテナーサックスプレーヤーである、ちなみにトランペットのトミータレンタインは実兄にあたる。
余談だが音が太く豪快なテナーのサウンドをボステナーと呼ぶが、スタンリーはそのボステナーの代表的な存在である。
日本を代表するテナーサックス奏者である三木俊雄さんによると、スタンリータレンタインのサウンドは体格の大きさが影響を与えたいるもののようだ。
さてこのアルバムの内容の方だがA面はCTIのイメージを定着させた曲のひとつと言ってもいいSugarから始まる、このシンプルなテーマのマイナーブルースが一流のジャズマンが集まり、有能なプロヂューサーのディレクションにかかると、どこまでもカッコよくなるという好例である。
この曲ではベンソンのソロが素晴らしく歌っている、ジョージベンソンのことを甘い声で歌うAORのスーパースターと捉えている方は、是非聴いていただきたい。 もちろんベンソン以外のミュージシャンも素晴らしいソロを聴かせてくれる、後にファンキージャズの定番となり多くのミュージシャンが取り上げることのなるのも納得の内容だ。
そして2曲目はブッチコーネルのオリジナルで8と16が混ざったソウルフルナンバーSunshine alley、この曲では若干オーバーブロウ気味なハバードがよく効いている。
CTIの看板ミュージシャンの1人であるフレディーハバードだが、このスタンリーのリーダー作では、少し大人しめの印象を受ける。 リーダーに遠慮してるのだろうか。
そしてB面全てを占めるコルトレーンのimpressionsは15分を超える長尺だが、一瞬たりとも冗長なところがない素晴らしい演奏である。 コルトレーンの有名曲を原曲の魅力を損なうことなく見事に1970年らしいファンキージャズに仕立て上げている、個人的にはこのアルバムのベストトラックである。
スタンリータレンタインはコルトレーンやスタンゲッツのようなレジェンドでは、ないかもしれないが個性的な素晴らしいミュージシャン。 このアルバムはCDならかなり安価で入手できるし、レコードのオリジナル盤もそれほど高くないので是非聴いていただきたい。 カマシワシントンあたりを聴いてる若い世代にも楽しんでもらえるような気がします。
ジャズ喫茶でリクエストして大きめの音で聞くのも良いかもしれませんね。