ねぇ、タクシー
「徳島駅まで」
タクシーに乗り、目的地を伝える
手荷物をごそごそして、緊急の連絡にだけ返信して、わたしが手持ち無沙汰になったタイミングで話し始めた運転手さんは、昔、名古屋に住んでいたとのこと。
「ミス名古屋のねぇ、女優さんがいたんですよ…」
キャッチーな入り、、
ミス名古屋さんは、スナックを経営していて(?)ヤクザかなにか、タチの悪い男の人に虐められていたため、それを運転手さんが慰めていたという
「とても美人なのに、いつも下を向いていて。暗い顔をして泣きついてきてねぇ…」
日々慰めながら4年程共に過ごしたのち、お別れしてしまったのだそう
仕事終わりの疲労の上から、想定よりも淋しい思い出。
なんて返そうかな〜と考えていると、
「でもね、彼女の妹の方が美人だったんですよ」
……どんな感情にさせたいの?
とりあえず着いたので、お金を払ってお礼を伝える。不思議な気持ちで下車。
これが2ヶ月前のこと。
そして先日、同じところでタクシーを拾う
「ミス名古屋のねぇ、女優さんがいたんですよ…」
この文頭、知ってる〜
もちろん同じ内容。
前回同様、複雑な気持ちにさせるオチまで言ったところで6〜7分経過
駅まで10分程なので丁度いい尺。
このエピソードを、話し慣れている?
車内に運転手さんの氏名が分かるものはなかったけど、タクシー会社の名前は覚えておいた
ちょっと悲しくなるから、聞きたいかと言われると分からないけど、
誰かに思い出してもらえるのは、
大切に話してもらえるというのは嬉しいことだな
最後のオチはいらない気がするけど。
わたしもお婆ちゃんになったら、
おんなじ話を何回も何回もするのかな
どうせなら楽しい話がいいな
次回も、安全運転でお願いしますね
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