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コップを上に向ける

俺の意思を読もうとしちゃだめだ
俺にももちろん意見はある
でも、自分で選択することに慣れてほしいんだ
大会のジャンプ構成だけじゃない
これから何度も選択の瞬間はやってくる
そこで何を取り入れ、何を捨てるか
それが、世界に一人だけのあなたという選手を作るんだ
強くなればいろんな意見を持つ大人が現れる
その時に行き先を他人に任せず自分で決められる選手になってほしい
あなたは自分の大切な人生を懸けているんだ

メダリスト score3 明浦路司 

これセリフは、小学生から高校生くらいまでの子どもに対する大人としての素敵な関わり方を表してくれている。
自分は何度こんなに真剣に子どもに向き合えただろうか。
この世の中に無数にある習い事や部活動の中で、一体どのくらいこのようなやり取りが行われているのだろうか。

この理想とでも呼べる信頼関係には、必要不可欠なことが2つあると思う。

一つは、子ども側の真剣度である。
ただし、目標の大きさは関係ない。
全国大会出場でも、地区予選突破でも、公式戦1勝でも、自己ベスト更新でも、前回よりもいい点数を取るでも。
大切なことは、各々の目標に向かって真剣に取り組む姿勢が必要である。
親にやらされている状態、惰性で続けている状態の子どもには、このようなセリフは届かない。
(私はこれを”コップが下を向いている状態”と読んでいる。この状態で情熱という水をいくら注いでも無駄である。)

もう一つは、指導する側の大人の真剣度である。
ただ指導するだけの大人と、子どもがどんな状態になりたいのかを常に頭に入れて、そのために何をするべきか考えて指導する大人とでは、子どもの成長に大きく差が出ると思う。そして、子どもはその大人がどんな人なのか意外とよく見ている。自分と向き合ってくれている大人に対しては、いつの間にか誠実に向き合ってしまうものだ。
(”コップを上に向ける”のも大人の大切な役割である。)

お互いの取り組む姿勢が合致し、目標が共有された時、初めてこの理想の信頼関係が築ける。
決して、セリフが重要なのではない。
子どもの挑戦に真剣に寄り添うこの姿勢が重要なのだ。

私がまた子どもを指導するような機会があれば、この場面を思い出し、子どもの目標に寄り添える大人でいたいと思う。

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