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ジェネリック一蘭に対する本家の神対応を裏読みする
新年早々、リュウジ氏関係のネットニュースが出ましたね。
こちらが話題の一蘭ニセモノのレシピ動画。今時点で205万回再生と、伸びに伸びている。
豚バラ肉を煮たスープをブレンダーでペースト状にすることで、とんこつ風スープを10分で作ってしまうという荒技レシピだ。再現度が高い、外国在住なので一蘭風のレシピありがたい、等々、コメント欄は大絶賛。
そして、この動画に対する一蘭の対応がこれだ。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) January 4, 2025
おれが一蘭のニセモノレシピを公開したらいつのまにか本家から「お礼」が届いた
皮肉とかクレームとかそんなチャチなもんじゃねえ
懐が恐ろしく深い企業の片鱗を味わったぜ…ホンモノ食べに行きます https://t.co/mVyQyn68J6 pic.twitter.com/VdZQXkfTgk
「この度は、リュウジ様のYouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』にて、一蘭を取り上げてくださり誠にありがとうございます。弊社のラーメンを研究して再現いただけましたこと、重ねて御礼申し上げます」
懐が深い!!とリュウジ氏も大恐縮だ。
ところで、ホームページを見るに、一蘭は知的財産権侵害に毅然とした対応を取ることを宣言している。
一蘭の店舗システムや名称、ロゴマーク等は知的財産として保護されており、弊社の許可なく使用する行為は、特許権、商標権、意匠権の侵害となる場合があります。また、これらの名称やロゴマークは、弊社の店舗および全国に流通する商品で使用実績があり、「周知な商品等表示」にあたります。
これらの「周知な商品等表示」である名称やロゴマークを、第三者が許可なく使用し、弊社の正規品かのような混同を招く行為は、不正競争行為(不正競争防止法2条1項1号)に該当する違法行為とみなされます。
前記の理由に基づき、第三者による無断使用や模倣行為を発見した場合は、知的財産権の侵害および不正競争行為とみなし、直ちに該当者に対して使用停止や賠償を含めた法的措置を検討いたします。
動画サムネに、ラーメンの画像とともに「一蘭」の表示をすることは、商標権の侵害にあたる可能性が極めて高いと思われる。民事訴訟の可能性はもちろん、刑事罰適用の可能性もあるから、実は相当危ない橋であった。商標権侵害は非親告罪であり、被害者の訴えがなくとも起訴が可能性なのだ。
商標権侵害行為に対しては、裁判所での民事手続による救済として、侵害行為等の差止めを求めること、損害賠償を請求すること、不当利得の返還を請求すること、信用回復のための措置等を求めることが可能で、これとは別に、刑事事件となれば裁判の結果、刑事罰の適用もありえます。
https://www.jpo.go.jp/support/ipr/trademark-kyusai.html
今回、一蘭がお礼の手紙を出したということは、民事訴訟は起こさないという意思の表れであるし、この手紙が公開されたことによって、捜査機関が動く可能性も低くなったと言えるかもしれない(私は刑事事件の実情については詳しくないので責任は持てない。もし関係者がこれを読んで不安があれば、弁護士に相談してほしい)。
一蘭は、リュウジ氏により公開されることも想定した上でお礼の手紙を出し、自社の宣伝に多大に貢献したリュウジ氏に刑事罰が適用されないよう、先んじて救いの手を回したのではないか。
そう考えるのは深読みしすぎだろうか。いくら一蘭が知財への意識が高い企業であるといっても。