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松ぼっくりに間違われたハリネズミ

第1章: 出会い

ある晴れた秋の日、ハリネズミのハリーは森の中をてくてく歩いていました。木の葉がはらはらと舞い落ち、空は真っ青で、少し肌寒い風が吹いていました。ハリーは大好きなドングリを探していましたが、ふとした瞬間、足元に何かが転がってきました。

「ん?なんだこれ?」ハリーは立ち止まり、転がってきた物を見つめました。

それは大きな松ぼっくり。

「こんにちは、松ぼっくりさん!大きいねぇ!」ハリーは挨拶をして、松ぼっくりをころころ転がしました。

すると、近くを通りかかったリスのチップがやってきて、「あれ?その松ぼっくり、すごくリアルだね!」とハリーに言いました。

「え?これ松ぼっくりじゃないよ、僕だよ!ハリネズミのハリー!」とハリーは言いましたが、チップは笑って、「冗談はやめてよ!松ぼっくりが話すわけないじゃないか!」と言って、ぴょんぴょん跳ねながら去っていきました。

第2章: 松ぼっくり大作戦

「まさか、松ぼっくりに間違われるなんて…」ハリーは頭をかかえました。どうやら、自分が松ぼっくりに見えるようです。

「もしかして、僕のこのトゲトゲのせい?」ハリーは自分の背中の針を見つめました。「確かに、松ぼっくりに似てるかも…」

そうしているうちに、次々と森の仲間たちがやってきて、みんながハリーを松ぼっくりだと思い込んでしまいます。

「すごい松ぼっくりだ!」と小鳥たちはさえずり、「大きい松ぼっくりだ!」とキツネも興奮気味です。

「違うってば!僕は松ぼっくりじゃないよ!」とハリーは叫びましたが、誰も信じてくれません。

第3章: 大ピンチ!

そんなある日、森の中で大きな嵐がやってきました。風がビュービューと吹き、木々が揺れ、どんどん松ぼっくりが落ちてきます。ハリーも風に煽られて、転がってしまいました。

「うわぁぁぁ!」ハリーは勢いよく転がり、木の根っこにぶつかって止まりました。

「もう、松ぼっくりじゃないってば!」ハリーが文句を言いながら起き上がろうとしたその時、何かにぶつかりました。

「やあ、松ぼっくり君、転がってくるのが上手だね!」それは森の王様、クマさんでした。

「クマさん!僕、松ぼっくりじゃないよ!」ハリーはすっかりくたびれていましたが、クマさんは笑って、「そんな冗談を言わなくてもいいよ。さあ、家に帰るんだ。風邪をひくぞ!」と言いました。

第4章: 本当のハリネズミ

そんなこんなで、みんなに松ぼっくりと間違われてしまうハリーですが、ある日、森の中でみんなが集まる大きな祭りが開かれることになりました。

「松ぼっくり投げ大会!」というイベントがあり、ハリーは森のみんなに「松ぼっくりだ」と言われ、ステージに上げられてしまいます。

「待って!僕は本当のハリネズミなんだ!」ハリーは勇気を出して叫びました。

その瞬間、観客が静まり返り、全員がハリーをじっと見つめました。そして、誰かがぽつりと言いました。

「…確かに、ハリネズミだ!」

「なんだ、松ぼっくりじゃなかったんだ!」みんなは一斉に笑いだし、ハリーも笑ってしまいました。

「でも、君が松ぼっくりだって思ってたのも、ちょっと面白かったね!」とリスのチップが言いました。

「そうだね!みんなを笑わせられて、良かったよ!」ハリーはほっとした顔で笑い返しました。

第5章: みんなの仲間

その日以来、ハリーはみんなから「松ぼっくりのハリー」として親しまれるようになりました。最初は戸惑っていたハリーですが、今ではそのニックネームを気に入っています。

「松ぼっくりじゃなくても、みんなに笑ってもらえればそれでいいんだ!」とハリーは思いました。

そして、今日もハリーは森を歩きながら、ちょっと大きめの松ぼっくりを見つけてはころころ転がし、友達に見せて回っています。


終わり


この絵本のメッセージは、「自分らしさを大切にしつつ、他人の見方や考え方も楽しむことができる」ことです。ハリーが最終的に自分を受け入れ、森の仲間たちとも楽しく過ごす姿が描かれており、親子で笑いながら共感できる物語になっております。

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