森の小さなおうちと魔法の花
むかしむかし、広い森の中に、小さなおうちがありました。そのおうちは、青い屋根に木でできた壁、そしてお花が咲き乱れる庭が特徴でした。おうちには、ちいさなリスの「ピピ」が住んでいました。
ピピは、とっても好奇心旺盛で、いつもお花畑を走り回っていました。「今日はどんなお花が咲いているかな?」そう思って、毎朝目を覚ますと、さっそく庭に飛び出していきました。
ある日、ピピが花畑を歩いていると、見たこともないキラキラした花を見つけました。その花は、虹色に輝いていて、ふんわりとした光を放っていました。ピピはびっくりして、その花に近づきました。
「なんだろう、この花?ほかのお花とは全然ちがう!」
ピピはそっと花に触れると、不思議なことが起こりました。なんと、花がゆっくりと開き、中から小さな妖精が飛び出してきたのです!
「こんにちは、ピピ!私の名前はララ。魔法の森の妖精よ。」
ピピは驚いて目を大きくしました。「妖精さん!はじめて会ったよ!どうしてこのお花に隠れてたの?」
ララは笑いながら答えました。「この花は特別な魔法の花なの。勇気を持って触ったものだけに、魔法を見せてくれるんだよ。」
ピピはワクワクしながら尋ねました。「魔法?どんな魔法が使えるの?」
「この花の魔法は、幸せを広げることができるの。誰かが悲しいときや困っているとき、私たち妖精がこの花を使って助けてあげられるのよ。」ララは優しく説明しました。
ピピは考えました。「じゃあ、僕も誰かを助けられるかな?」
「もちろん!」ララはニコニコしながら言いました。「だけど、まずは心の中で誰かを助けたいって強く思わないとね。そうすれば、花の魔法が発動するよ。」
その日の午後、ピピは森の中を散歩していると、泣いている小鳥のチュチュを見つけました。
「どうしたの、チュチュ?」ピピは心配そうに声をかけました。
「僕の巣が風で飛ばされちゃったんだ…。新しい巣を作るのに時間がかかるし、どうしたらいいかわからないよ。」チュチュはしょんぼりと話しました。
ピピは「よし!」と思い出しました。「ララの魔法の花があれば、きっと助けられる!」
ピピは家に戻り、ララからもらった魔法の花を取り出しました。そして、心の中で強く願いました。「チュチュがまた巣を作れるように、どうか助けてください!」
すると、魔法の花がピカピカと光りだし、ふわっと優しい風が森中に吹き渡りました。なんと、その風が落ち葉や小枝を集めて、あっという間に新しい巣を作ってくれたのです。
「わあ!ピピ、ありがとう!」チュチュは大喜びで、ぴょんぴょん飛び跳ねました。
ピピは少し照れくさそうに笑って言いました。「僕じゃなくて、ララの魔法の花が助けてくれたんだよ。」
その後も、ピピは魔法の花を使って、森の仲間たちを何度も助けました。困っている仲間がいると、ピピは魔法の花にお願いして、いつも優しい心で助けようとしました。
ある日、ララがピピの前に再び現れて言いました。「ピピ、あなたの優しい心のおかげで、魔法の花はもっともっと力を増したわ。これからはあなた自身が、みんなを幸せにする力を持つのよ。」
ピピは驚いて聞き返しました。「僕が?」
「そうよ、魔法の花はもう必要ないわ。あなたの心がすでに魔法を持っているの。誰かを助けたい、幸せにしたいと思う気持ちが、最も強い魔法なのよ。」ララはにっこりと笑いました。
ピピはその言葉を聞いて、胸がぽかぽかと暖かくなりました。これからもずっと、森の仲間たちを助け続けると決めました。
そしてピピは、優しい気持ちを持ってみんなを助け、森はいつも笑顔でいっぱいになりました。おしまい。