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ぼくとちいさなドラゴンの冒険

緑豊かな山のふもと、深い森の中に小さな村がありました。そこに住んでいたのは、ちょっと勇気がありすぎる少年、レオン。レオンはいつも森を探検するのが大好きでした。彼の相棒は、ボロボロの地図と木の枝で作った杖。今日は、もっと深く、もっと遠くへ行ってみようと心に決めて、彼は背中に小さなリュックを背負い、村を後にしました。

森の奥へ進んでいくと、突然、レオンは何か不思議なものに気づきました。大きな岩の上に、エメラルド色に輝くウロコを持った、しかしとてもかわいらしい小さなドラゴンが座っていたのです。そのドラゴンは、レオンを見ると興味津々な目でじっと見つめました。

「こんにちは!」と、レオンは声をかけました。

ドラゴンは驚いた様子で少し後ずさりしましたが、すぐに安心したように微笑みました。

「ぼくの名前はレオン。君は?」

「……ボル」と、ドラゴンは少し恥ずかしそうに答えました。

「ボルか! 君はこの森に住んでるの?」

ボルは頷きました。そして、彼は小さな前足で指さしながら、「もっと奥に進むと、不思議な泉があるよ。でも……そこには強い風の精がいて、近づけないんだ」と、少し悲しそうに言いました。

レオンはワクワクしていました。彼の冒険心が一気に高まりました。

「じゃあ、一緒に行ってみよう! 風の精だって、きっと話せばわかるさ!」

ボルは少し戸惑いましたが、レオンの元気な笑顔を見て頷きました。そして、二人は森の奥へと進み始めました。


歩き続けて数時間、ついに不思議な泉が見えてきました。その泉は、キラキラと光り輝き、周りには美しい花が咲き乱れていました。しかし、突然強い風が吹き荒れ、二人は立ち止まりました。

「これは風の精の仕業だね」とレオンは言いました。

その時、風の中から淡い光が現れました。それは風の精の姿でした。美しくも威厳ある表情で、彼女は二人に近づきました。

「この泉は私の守るもの。容易には通さないわ」

レオンは勇気を出して一歩前に進みました。「お願いだよ。僕たちはただ、この泉を見に来ただけなんだ。君のことを知りたいんだ!」

風の精は少し驚いたように彼を見つめました。「ほう、私に興味があるのか?多くの者が私を恐れるのに。」

レオンは頷きました。「だって、君はこの森を守っているんだろう?それってすごいことじゃないか!」

風の精はしばらく考えた後、優しく微笑みました。「わかった。お前たちには特別に泉の力を少しだけ見せてあげよう。」


風の精が手をかざすと、泉の水がふわりと宙に浮かび、その水が虹色に輝きながら空へと舞い上がっていきました。ボルは目を丸くしてその光景を見つめ、レオンもその美しさに息を呑みました。

「この泉の水には、願いを叶える力があるのだ」と風の精は言いました。「だが、その力を悪用する者には、厳しい罰が下る。」

レオンは考えました。そして、ボルの方を見て微笑みました。「ボル、君の夢は何?」

ボルは驚いた顔をしていましたが、少しの間を置いて、静かに言いました。「僕……もっと大きくなって、森を守りたいんだ。」

レオンは頷き、風の精にお願いしました。「ボルが森を守る強いドラゴンになれますように。」

すると、泉の水が再び輝き始め、ボルの体が少しずつ大きくなっていきました。ボルは驚きと喜びが入り混じった表情で、自分の変化を見つめていました。

「ありがとう、レオン……君のおかげだ」と、ボルは感謝の気持ちを伝えました。


それから、レオンとボルはいつも一緒に森を守る仲間になりました。二人は森を探検し、新しい友達を見つけ、困っている動物たちを助けました。風の精も、時折二人に力を貸してくれるようになりました。

こうして、レオンとボルの冒険は続いていきました。森はますます豊かで美しくなり、彼らの友情もどんどん深まっていきました。

終わり。



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