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Eテレ「日曜美術館」(7月14日放送)

若冲 よみがえる幻の傑作〜12万の升目に込めた祈り〜
初回放送日:2024年7月14日
圧倒的な人気を誇る、18世紀京都の絵師・伊藤若冲には、幻の傑作がある。昭和8年にある図録に白黒写真が掲載されて以来行方不明となった「釈迦十六羅漢図」だ。12万もの升目により画面を構成する若冲ならではの描法による大作。昨年専門家チームが結成され、このほどデジタル復元が完成した。写真1枚から極彩色世界をどうよみがえらせたのか。そもそも若冲はなぜ困難な技法に挑み、作品にどんな思いを込めたのか、謎を探る。

とは、先日放送された「日曜美術館」の番組内容の解説である。
番組内では、静岡県立美術館が所蔵している、若冲の「樹下鳥獣図屏風」との制作技法の類似性から、描かれた時期が近いのではないかということ、そして、元々は、真ん中に「釈迦十六羅漢図」が据えられていて、その脇に「樹下鳥獣図屏風」の右隻と左隻があったのではないかという実に大胆なかつ夢のある推理を展開している。
また、番組の後半では、伊藤若冲が、その晩年に全精力を注ぎ込んで制作した石峰寺の羅漢像たちが紹介される。
石峰寺には伊藤若冲のお墓がある。
その墓から急勾配の小さな山を登っていくと、ほどなく、若冲が下絵を描き全面的に指示をして石工たちが彫った無数の羅漢像たちが忽然と現れる。
山を登る前とあとでは、空間感がまったく異なり、時空を超えて別の世界に足を踏み入れた感覚に捉われる。
不気味な感覚と言えばそうなのだが、これまでに味わったことのない陶然とした空気感を味わいながら、長い時間、茫然として過ごすのだ。
雨でも降っていようものならもうたいへんだ。
どこか別の世界に連れていかれそうな感覚にすら陥る(それもまた幸せかなのかもしれない)。
その場所は写真撮影は禁止なので、京都に行った折には、ぜひとも石峰寺を訪れてほしい(番組では一部が映像で紹介されていた)。
ここには、伊藤若冲が生涯をかけて追求した仏の世界が確実に存在する。

この「釈迦十六羅漢図」のデジタル復元版が、近日、公開されるとのこと。
これは必見である。

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