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新国立劇場のロッシーニ「ウィリアム・テル」

昨日、11月20日に、ジョアッキーノ・アントニオ・ロッシーニ(1792ー1868)のオペラ、「ウィリアム・テル」が、新国立劇場で開幕した。
日本における原語版(フランス語版)による全曲上演は、初めてとのことである。
私が持っている歌劇「ウィリアム・テル(グリエルモ・テル)」の全曲版のCDはイタリア語版によるもので、そのCDに付属のブックレットによると、このオペラは、ロッシーニがパリに滞在していて、パリのイタリア歌劇場支配人の任にあるときに作曲が開始されて、その後上演されている。
ロッシーニのイタリア歌劇場支配人の契約は、1828年の春に満期となっているが、その後、別の形での契約(「国王陛下の作曲家、並びに音楽総監督を」)が締結され、1829年の8月3日に初演されている。
「ウィリアム・テル」と言えば、やはり序曲が有名であるが、12分を超えるこの長大な序曲の中でも、後半のトランペットの勇壮なファンファーレに導かれる部分が特に知られていて、ある一定の年齢以上の方は、この音楽をBGMにして運動会で徒競走を走ったというご記憶も鮮明にあると思う。
序曲はつとに有名だが、さて本編はさほど知られていないこのオペラ、実はかなり長大なオペラで、今回の上演では、二回の休憩を挟んで、全上演時間が五時間近くにもなるという壮大なものである。
ロッシーニというと、「セビリアの理髪師」などに代表されるオペラ・ブッファ(喜歌劇)がよく知られているけれども、実はたくさんのオペラ・セリア(正歌劇)も書いていて、この「ウィリアム・テル」はその代表作である。
そのオペラの原語版初上演ということであれば、次にいつ観られる(聴ける)かどうかわからないので、ロッシーニ・ファンならずとも、オペラに関心を持っていれば見逃せない上演であろう。

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