私が学んだ「英語で英語を教える」技術(CELTA英語教授法資格)
「英語で英語を教える」というコースを英語で受講し、CELTAという英語教授法の資格を取得しました。
私の職業はオフィスで働くサラリーマンです。このコースを受講したのは、英語で英語を教えるということに純粋に興味があったからです。
受験英語出身の私には新しい世界でした。知的刺激を受けました。
この「英語で英語を教える方法」について、私が見て思ったことを書いておきます。
「英語で英語を教える」ことを学ぶ
英会話の練習だけでなく、英文法や英単語についてノンネイティブの英語ビギナーにも分かるように、しかも英語だけで説明するには、技術が必要です。
私が学んだCELTAコースでは、その方法を教えています。
CELTAについて
CELTAは、英語話者が海外でノンネイティブに英語を教える方法として、ケンブリッジ大学が作りました。
もともとは英語しかできない英語話者のためのメソッドなので、英語で教えることを前提にしています。英語で英語を教えます。ダイレクトメソッドです。
(参考までに、CELTAの説明があるWikipediaのリンクも貼っておきます。)
昔は、イギリスやオーストラリアの大学生がCELTAを取得して、卒業後に海外旅行しながら英語を教えて回る、という使われ方をしていたそうです。
いまは、世界各国から受講者が集まります。ネイティブスピーカーもいればノンネイティブもいます。英語講師を目指している人も来ますが、多くの英語教育のプロも受講しにやって来ます。
私はオンラインのコースを受講しました。受講者の出身国は様々でしたが、ほとんどが現役の英語の先生でした。英語の先生でないのは、私とエミレーツのキャビンアテンダントの二人だけでした。
私が受講したCELTAコースのこと
コース自体は厳しいものでした。課題が山のように出ます。
私は日中は仕事があるので、仕事後の自由時間すべてをCELTAのために使いました。週末もCELTA漬けです。
そうやって頑張って課題を出しても、ほめられることなどまずありません。
レッスン後に模擬授業を行うのですが、ここでもダメ出しばかりです。
現役の先生はさすがに上手に模擬授業を組み立てていましたが、それでも、CELTAのメソッドに沿っていなければ容赦なくダメ出しされます。
そういう体力と気力と時間を使うレッスンでしたが、CELTAの「英語で英語を教える方法」を学べたことは、よい経験でした。こうなっているのか、と分かりました。とても興味深かったです。
CELTA流、英語で英語を教える方法
CELTA資格取得コースでは、ダイレクトメソッド、つまり「英語で英語を教える方法」を英語で学びます。
ダイレクトメソッドの大きな利点は、英語漬けになること、です。
テキストも説明もすべて英語ですし、先生への質問もその回答も英語なので、英語を使う機会も、その分多くなります。
CELTAも、この点を長所として重要視しています。生徒が英語を話す機会を最大限に増やすよう、授業を組み立てます。
たとえば、先生が話して説明するのではなく、生徒から発言や答えが自然に出てくるような状況へと上手に誘導します。先生が話す時間をかぎりなく短くし、代わりに生徒に話させます。
これはうまくできているな、と思わされました。
もっとも、むやみやたらに英語漬けにしていれば英語が使いこなせるようになるとは、CELTAもさすがに考えてはいません。文法の授業もやります。
とはいえ、英語で英語を教えるのがCELTA流。英文法を英語で英語ビギナーに説明するという方法で教えます。
これはちょっと大変でした。たとえば、過去形を使う状況について絵や図を使ってなんとか説明してみたりと、けっこう苦労しました。
英単語の説明にも、力技を使います。
絵で簡単に表すことができるような単語ならばまだよいのですが、すこし抽象的な単語になると、工夫が必要です。
私も、"cover"という動詞の意味を説明する訓練をしました。
英語でいくら言葉を尽くして意味を説明してみたところで、初級クラスの生徒には理解してもらえません。
私がした方法(CELTAの方法)は、たとえば、 coverが出てくるようないろいろな状況の絵をたくさん見せて、生徒に意味を類推させ納得してもらう、というものでした。
英語で英語を学ぶことに意味がある場合とは?
CELTAは、私にとって初めて触れたダイレクトメソッドでした。
英語で英語を教えることは、技術によって可能なことが分かりました。
先生のガイドのもとで英語漬けになることができるのは、英語の、特に会話力を伸ばすのにはよい方法なのだろうと思います。
ただ、文法や単語をビギナーレベルから学ぶのには向いていないかもしれません。
私自身は、もともと日本語で英語を学びました。学校で学びました。英会話学校はおろか塾にも通ったことがありません。英語を学んだのは学校英語だけです。
高校では文法と単語をみっちり教えられました。受験英語対策も同じです。
ただ、学校では会話を練習する機会は十分ではありませんでした。機会があって英語圏など海外に住み、朝から寝るまで英語を話さなくてはならない環境に放りこまれ、なんとか英会話を身につけました。
そうした経験を経て考えるのは、英語だけを使って教えるダイレクトメソッドは、英文法や英単語の知識を持つ人が、英語力を効率よく多面的に伸ばすのには有効なのでは、ということです。
文法や単語の知識を新たに仕入れることよりも、英語を使う経験値を増やしたいような人には、ダイレクトメソッドで学ぶ効果があります。
英語漬けになるのは勉強中だけですから、いきなり外国語で生活を始めるときに受ける理不尽なストレスとも無縁です。
CELTAのメソッドのように、英語だけを使って英文法や英単語を学ぶことも、もちろんできなくはありません。
でも、英文法や英単語は、特に習いたての時期は、学校で習うように日本語で教わるほうがよいと思います。私たちには長年使ってきた日本語の知識があるのですから、それをうまく使って英文法や英単語を学んだほうが、効率がよいのではないでしょうか。
日本語で英文法を学ぶ意味は、ほかの記事にも書いてみました。
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