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「17歳のカルテ」の暗黒面、The End of The World

その重い映画のテーマとは対照的に、底抜けに明るい曲、「DownTown」が主人公の手で爪弾くギターで歌うシーンは救いのように感じます。

映画「17歳のカルテ」でそんな一場面に登場する曲、Petula Clarkが歌うDown Townについて、詳しくはこちら↓

映画「17歳のカルテ」にはもう1曲、トラウマ級に忘れられない曲があります。ちょっとネタバレが含まれるため、まだ映画を見てない人はここで引き返してくださいね!

以下、ネタバレ!



主人公スザンナが精神病院で出会ったリサが病院を脱走。先に退院したデイジーの家を訪ねる。そこで起きたことが原因でデイジーは自ら命を経ってしまう。

その時にバスルームでデイジーがリピートでかけていた曲がこちらの曲。

Skeeter Davis / The End of the World 

この曲を調べていたところ、曲名からも分かるように「この世の終わり」=失恋ソングのようなんですよね。ただ、この曲の作詞をしたSylvia Deeは14歳の時に自身の父親の死に際してこの詞を書いたとのことなんですよね。父親から虐待を受けていたデイジーにリンクしてゾッとした。

そう、わたしはこの曲を聞くと映画のシーンが蘇ってきてゾッとします。この曲自体は切ないバラードでメロディも美しい。


スザンナが異変を感じて、階段を2階に登っていく。
慎重に一歩一歩、進むたびに
The End of the Worldが次第に大きくなって聞こえてくる。
レコードプレイヤーは曲が終わっても止まることなく、
何度も繰り返していることに気がつく。

明かりが漏れた部屋が見てくる。
そこから音楽が聞こえている。
恐る恐る、明かりのついたドアを開けると…。


このシーンが脳裏に焼き付いているんですよ。しかもメロディ付きで。

改めて聞いてみたんだけど、これは聞くと鳥肌が立ちますね。あのシーンが蘇ってきてしまう。

調べてて唯一助かったなと思ったのが、この曲を勝新太郎がカバーしているとの情報を入手したこと。はあ…助かった。なんかほっとした。
遠い遠い外国で心細くなったところに、おにぎりとお味噌汁が食べられる店を見つけたみたいな安心感。ありがとう勝新。

勝新太郎 / 世界の果てに

勝新、いい声だな。わたしの中のトラウマが中和されました。ありがとう、勝新。

この映画「17歳のカルテ」、主人公にとって「Down Town」は光だとしたら、この曲「The End of the World」は影。あまりにも悲しい現実に打ちひしがれる心情にぴったりと合います。

こちらに両方の曲が収録されています。

この映画は何回も見ているんだけど、やっぱりあのシーンが辛いので身構えてしまうんだ…。