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そうかなあ
小さい女の子にお母さんが言っていた。
「なんで画用紙いっぱいに描かなかったの」
女の子はだんまりだ。
「お面を作りましょうって言われてるんだから、お顔を大きく描かなきゃダメでしょ?言われた通りにやらなきゃ」
お母さんの声だけが響く。
道端でふと覗き見る他人の人生。
僕は、「そうかなあ、好きに描けばいいんじゃないのかなあ」とも思うが、多分そんな簡単な話じゃないだろうし。
「求められているもの」に対して「正解」を出す事は悪いことでもないし。
何より僕はその家族の普段を知らないし。
「他人だから」「知らない人だから」そう思うだけで、確かに切りとってみれば「そうかなあ」と思うけれども、実は色々あるのかもしれない。
「あんたには関係ないでしょ」と、そう言われるのがオチだ。
余計なお世話も甚だしい。
まあ、好きな絵を描けばいいよ。今は難しくとも、いつか好きに描ける時がくるよきっと。
と、他人ならではの無責任さで僕は角を曲がって二人とはお別れした。
僕も、絵、描いてみようかな。