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つくも。

携帯電話、もといスマホを替えた。変えた?代えた?頭が悪くてどの漢字が正しいのか分からない。
とにかく、新しいスマホは文字通り新しくて、今まで使っていたものよりも画面は大きく、充電の持ちも良く、容量も多く、つまりとても快適だ。
持ち替えた当初は、イヤホンジャックもないし、ボタンの配置も違うし、「なんだこれは!」と文句を言っていたが、結局すぐに慣れた。

そして、以前使っていたスマホは殆ど使わなくなってしまった。新しいのを買う前は、「でもこの携帯にも愛着があるから、新しいのと併用しよう」などと考えていたが、いざ新品を手にしてみるとその気持ちはどこかに言ってしまったようだ。

そもそも、電波を受け取れない、ようはただのiPod touchになったスマホで何をするつもりだったのだろう。「で、でも愛着が…」とか言っていたが、愛着があっても電波がなくては仕方がない。大体スマホを見ている時間の殆どはインターネットを使用しているというのに。

「じゃあ何か、データとか写真とか、そう言うものを見るために使えばいいじゃん」とも思ったが、どう考えても新しいスマホの方が画面が大きいから見やすいし、入れられるデータも多いし、つまり優れていて、古いスマホを使う理由がどこにもないのだ。
唯一良い点として「イヤホンジャックがある」というのが挙げられるが、それもインターネットを使って音楽を聞いている身としてはあまり意味をなしてくれない。

ふと、思い出した。新しいスマホを買う時に「下取りオプション」というのがあった。今まで使っていたスマホを下取りに出す事で新しいモノを安く買えるというものだ。
僕は「せっかく何年も使ってきたのになんで下取りになんか出さなきゃならないんだ」と思っていて、オプションを使う事を全く検討していなかったが、合点がいった。なるほど、たしかに古いスマホは使わない。使いようがない。
まあどちらにせよかなり古いモデルだったので、大した金額(ほんとにびっくりするくらい安かった)にはならなかったのだけれど。

だから、僕が未だに古いスマホを持っているのは「愛着」以外の何物でもない。人間の細胞は入れ替わってしまうが、このスマホにはきっとあの駅前の居酒屋の匂いや、海鮮居酒屋の網焼きの臭いや、アルバイト先のタバコの臭い、ん、全部居酒屋だが、とにかくそういったものが染み付いているような気が、したりするのだ。
そんな事を言いながら、今日古いスマホを取り出した時に、いつの間にか新しい方のクセで何もないところにボタンを探していた。

付喪神がつくまではあと96年。ごめんなさいと謝りながら今日も新しい方のスマホでこのnoteを書いている。

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