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健康
風邪だ。紛れもなく風邪である。油断。完全なる油断。
「アフターコロナ」と名付けられた2023年の冬。家族での食事会を終えて眠りにつこうとするとやけに喉が渇いた。今思えばそれは渇きではなく風邪の前兆であった。喉元に宿る違和感が拭いされぬまま「酒を飲んだせいか水分を欲しているのだな」とやけくそに水道水をあおった。
翌朝の目覚めは最悪で、熱はなくとも体を覆う倦怠感が布団の隣で寝ていた。鼻がひどく、いわゆる「風邪の時の鼻水」の臭いがして嫌になった。
頭が少し痛くて、同時に霞がかかったようにぼんやりとしていて、何も手につかない。葛根湯をお守りのように飲み込んで再び布団に潜った。
また次の日はひどい咳で起きた。鼻詰まりも治らないまま、強制的に吐き出させられる息がもたなくて苦しい。今日も葛根湯を流し込んで怠い体を無理やり動かす。
家に帰る頃にはまた一段と霞が強くなっていって、息が荒くなる。浅い呼吸を繰り返しては咳で吐き出すばかりで、一向に良くなる気配がない。「人生の中でこんなにもつらい日々があってもいいのか」と思ったが、去年の夏にコロナにかかった時はそんなことを考える余裕すらなかった。「さすがにアレよりはマシ…」と言い聞かせて重い体を引きずるようにして家に倒れ込んだ。
また朝が来て、「全回復!」と叫べることを心待ちにしていたがやっぱり調子は悪いままだった。この日は倦怠感がさらにひどく、鬱々とした気持ちで家を出た。
暑いのが服のせいなのか気候のせいなのか病気のせいなのか分からずにぎゅっと目を閉じてそれが過ぎ去るのを待った。まるで台風がどこかに行くのをただ祈っている時のように、「いずれ終わるはずだ」と普段は意識もしない神の存在に頼る。
翌朝は酷い痛みで起きた。両の足が付け根から痛くて、まるで怪獣のような呻き声を上げながら体を起こす。外に出る準備をする時もひたすら唸り声をあげる。
一旦薬局に寄って総合感冒薬を購入。効くかどうかは分からないが、ないよりマシだと思った。発熱はないので鼻水・咳・痛みの症状に合致するものを探したらほぼ一択。9日分はちょっと高いので6日分を買う。
電車に乗っても空いてる席がなくてしんどい。「しんどい」という言葉がピッタリすぎて、本当にしんどい。
やや久しぶりにいつもの人たちに会うとこぞって同じような症状を訴えていた。どうやら日曜の何かで見事に菌だかウイルスだかを貰ってしまったらしい。この日は爆速で帰った。
今日は起きたらとんでもない喉の痛み。代わりに、ほかの症状は大分と良くなった。
体調が悪いクセに昨日ファンタビを観てしまったので寝不足。これは普通に僕が悪い。
今日も一応セルフメディケーション。効いてるかどうかが問題ではなく、飲んでいることが大事だ…!
夜まで過ごして、多分かなり良くなってはいる。咳も随分と鳴りをひそめているし、鼻呼吸も可能だ。
これで今日ちゃんと暖かくして寝ればかなり良いのでは?と思っているが油断してはいけない。治りかけが一番気を抜くのだ。
今更、「風邪を引いて普段に感謝」とかはない。教訓とかもない。明らかに油断。咳をしている人が近くにいたのに「ま、いっか」と思って特に何もしなかったのもそうだし、外に出た時「あ、ちょっと寒いかもな」と思ったのに一度出た家を戻るのが面倒で「ま、いっか」とそのまま出かけたのもそう。
申し訳程度の手洗いうがいで予防してるつもりになっていた自分が間違いなく愚か。
明日の目覚めはどうだろう。もう一歩くらいは良くなってるといいのだけれど…。
[写真は風邪を引く直前に最後に撮ったビール。スーパーで見つけて「富良野じゃん!」とテンションが上がって撮っただけ]