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Man up!
『ブック・オブ・モルモン』というミュージカルがある。ブロードウェイで上演されていて、中々見ることはできないが某笑顔系動画サイトに動画が上がっている。
あらすじとしてはモルモン教の宣教師がウガンダに行ってあれやこれや…という話なのだが、なかなか面白い。
基礎知識として必要なのは「モルモン教の宣教師は白人の若者が2人組で行う」「モルモン教はユタ州ソルトレイクシティを拠点として、キリスト教の一派と名乗りながら本家キリスト教とはだいぶ違う」くらいである。
これがプロテスタントやカトリックではダメなのか、というところだが面白いのはこの「2人組」にある。
最初のシーンはまず訓練所で新米宣教師たちが訪問の練習をするところから始まる。曲は"Hello"だ。
何人もの宣教師たちが次々にドアベルを押して「ピンポーン」と鳴ってから各々の布教を始める。
「オラ!」や「你好」と各国の言語で挨拶をして、「あら、かわいい犬ですね」などと言う。多分これはいわゆる「あるあるネタ」で、アメリカに住んでいる人ならめちゃくちゃ面白いのだろう。(勧誘を受けたことがないから分からないが)
そんな中主人公は「宗教を変えたいと思っていますか!?ここに無料の聖書があります!!」などと叫んでしまい、怒られるのだ。
シーンは進んで"Two By Two"という曲へ。この曲は新米宣教師が2人組を組まされ、世界各地への行き先を告げられる。ここで主人公と組むのが出来のいい相方なのだ。
つまり、この物語はいわゆる「凸凹コンビもの」である。
ちょっと抜けてる主人公と、優秀な相方。でも、イレギュラーな土地に行ってミラクルを起こすのは落ちこぼれの主人公。みたいな話だ。
このシーンでも面白ポイントが沢山ある。世界各地に飛ばされる2人組は、言い渡された国のイメージを歌う。
フランスは「ペストリーとタートルネックの国」、日本は「醤油とモスラの国」というようにクスッと笑える偏見が込められている。
そして主人公コンビはウガンダに飛ばされるのだ。行った先ではまああれやこれや…と起こるのだがそれはぜひ観てもらうとして、このミュージカルの中で好きな曲がある。
"Man Up"という曲だ。
Man Upというフレーズは、「しっかりしろ!」とか「ちゃんとしろ!」とか、なるべく直訳するなら「男だろ!」みたいな意味になる。
曲の中で面白いのはこれをジーザスに対して使うところで、「ジーザスは男らしくやりとげたんだ!」みたいに言う。これはどう考えても上から目線で、それが面白かったりする。
でも、意外とこの曲がすごくよくて、最終的には主人公が「やるしかないんだ、男だろ!」と自分に言い聞かせる場面はすごく力をもらえる。
だからなんとなく落ち込んだり、まさに"Man Up!"と自分に言いたくなる時はこの曲を聴く。
長々と語ってしまったが、とにかくこのミュージカル自体すごく面白いので是非観てほしい。
"You and Me (But Mostly Me)"や"Baptize Me"などもすごく笑える曲だが、ストーリーを知っていると尚更面白いと思う。
日々自分に"Man Up!!!"と言い聞かせながら今日も頑張ろう。