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「『神様の罠』オンライン読書会」@「オール讀物」編集部

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文藝春秋のオール讀物に掲載された、人気作家6人によるミステリーアンソロジー『神様の罠』(文春文庫)の刊行を記念して、作者の有栖川有栖さんと辻村深月さんが〈ネタバレあり〉の本音で語る読書会をオンラインで開催します!

という記事をみて、さっそく申し込んだ。参加方法は、honto で神様の罠【オンライン読書会参加券付き】を購入する。すると、送付された本の中にQRコード付きの用紙が入っていて、それにアクセスして登録すると、参加できる。Zoom によるウェビナーであるが、チャットにより登壇者に質問も受け付ける。

文庫『神様の罠』に収録の「推理研VSパズル研」と「2020年のロマンス詐欺」をお読みの上、ご参加ください。 これが条件である。

辻村深月さんは、文春のスタジオから、そして、有栖川有栖さんは、なんと自宅の書斎からの参加。蔵書に囲まれている貴重な画像だが、対談中に、さっと必要な本を取り出していく臨場感がたまらない。床にも本を置いてあり、ここは執筆するひとつの場所で、ほかでも書くという。時間は夜から明け方。午前四時に、朝方の作家さんたちと交信できるという面白さ。

あの有栖川有栖の話は、夜書かれていたらしい。今回の対談も15時開始。午前の仕事は断るという。午後一のインタビューには、数日掛けて、早起きモードに変えていく。一方の辻村深月さんは、九時から五時モードで、書いているという。子育てと両立しながら、若者が心に持っている気持ちを分かりやすく表現することに心を配っている。受け答えを見ていても、すごく頭のいい方だと思った。この方の作品は読んだことがなかったので、さっそく有栖川さんお薦めの、かがみの孤城 を購入する。

今回の有栖川さんの短編も、久々の江神シリーズで、それだけでうれしくなってしまう。

二人がたがいの作品の面白さを語り、また、どんな作品が好きかと、かなり個人的な話題を振られて、それも楽しそうに回答している。オール讀物の編集者の方が、MC役なのだが、この二人のことは熟知しているせいか、質問の仕方もうまいし、Zoom慣れしていると思った。新人賞などの選考会もすべてオンラインでやっていると聞いて、そうか、生活の一部になっているのかと、妙に納得。編集部もこのコロナ禍で、オンラインで作家さんたちと打ち合わせをしているのだ。紙の出版物の編集部が、オンラインで仕事しているのも、この時代ならではだと思う。その分、年季が入っていて、みている参加者を飽きさせない。紹介された本はすぐにリンクをつけてチャットに乗るし、すばらしい情報量なのに、余裕で楽しさも伝わってくる。

二人は勝手に好きな話をしているが、それをうまくまとめて次の話題に振るのは、さすが編集者。文春がこの企画を始めると聞いたとき、できるのかしら、と思ったがすばらしい内容だった。参加するURLもその人個人の独自URLになっていて、こちらの運営側も慣れている。

最後にお二人がお薦めの一冊を紹介したのだが、有栖川さんが紹介したのが、「オクトーバーリスト」で、こちらは7/10の西東京読書会の課題図書だったので驚いた。文春文庫であるから、読者サービスかもしれないが、
平成のエラリークイーンと呼ばれた人の推薦は強力である。

参加者は本を購入して、読んでからというスタイルなら、ほかのミステリー専門の東京創元社とか、早川書房でもできるはず。みなさまがどしどし実施してくれるとうれしい。

居ながらにして、そして、どうやってその作品を作っていくのかの過程もわかって、大満足の二時間だった。当然、紹介された本をいくつか買って、積読。コロナ禍で、閉塞感があるなか、このようなイベントに勇気をもらった。関係者のみなさま、ありがとうございます。

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