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連載小説 砂上の楼閣7
『発端2』
次の日、1時間程遅刻して学校へ行くと、山上充がやってきた。
「遅かったじゃないか。」
『ああ。』
俺は曖昧に答えた。昨夜の事で頭が一杯だった。流石に気付かれたか?
「春彦。何かあったか?」
予想通り、充は何か気付いたようだ。幼馴染みと言うのは良いのか悪いのか?
『ちょっと屋上いいか?』
充を促し二人は、学校の屋上に向かった。もちろんバレたらアウトだ。しかし、人に聞かせられる話ではない。
春彦は昨夜の事を充に打ち明けた。充は一言も口を挟まず、最後まで黙って聞いていた。
「相当ヤバい話だな。それでどうする?」
『今朝のニュースでも扱われなかったし、どこかに監禁されているか、まさか……。』
「まずは警察じゃないか?俺達の手には負えないだろう?」
『やっぱりそうだよな?でも俺達の言う事をまともに聞いてくれるか?』
「俺達らしくないか。」
充は笑いながらシャドーを始めた。春彦も充もマーシャルアーツの上級者だ。その辺のチンピラなら問題なく仕留められる。
『それでもいいが、どうやって探す?』
「何か手掛かりはないのか?車のナンバーは?」
春彦は首を左右に振った。追い掛けるのに夢中でナンバーにまで頭が回らなかった。でも……。
『制服。』
「制服がどうかしたか?」
『セーラー服だったと思う。』
「そうか。あの辺だと藤女か?」
藤女とは、“藤吉女子高等学校” 名門のお嬢様学校だ。
『だとすると、少し心当たりがある。』
まさかとは思うが……。
春彦は強い胸騒ぎを覚えた。