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#55 ご来光のベストポイント

「ご来光のベストポイントはどこですか?」とよく質問される。富士登山を計画して下見にやってこられる方たちだ。皆さんネット検索で知識も豊富だ。やはり一様に「ご来光は山頂で。できれば剣が峰」という意識が強い。だから登頂時間から逆算して夜間に登山を開始する。いわゆる弾丸登山だ。夜間登山は危険という意識は少ない。懐中電器があれば大丈夫と思い込んでいる。懐中電器は片手が使えないので、照明はLEDのヘッドライトをお薦めしている。50m先までしっかりと照らしてくれるヘッドライトもあるようだが、所詮50mだ。特に落石が心配される所では夜間登山は避けるのが賢明だ。
 
「御殿場登山道は、どこでもご来光は見られます。この先の大石茶屋から山頂まで、他のルートと違って地形・植生に影響は受けません。見られるか、見られないかは当日の雲の状況にかかっています」「なるほどね」 すかさず、スマホを取り出し「これを見てください」とご来光の写真を見せる。「きれいですね」 「はい、先日この倉庫の後ろから撮影したものです」 「へえ?」である。
「ご来光はどこでも見られます。それには、まず安全を第一に計画して下さい」とお願いする。「ご来光を見られたところがベストポイントですか?」 「はい、自然はいつも動いています。常に同じはありません、無常です。神のみぞ知る」です。というと皆さん納得して帰られる。
 
その背中に一言かける。

「もっていれば大丈夫、きっと見られますよ!」と。
 

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