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#18 家族で仲良く
夏休みも残すところあと一週間となった日曜日の朝四時過ぎ。周りの木々が大きく揺れる中、五つの影が登ってきた。照明の光が届くと、親子連れの様子。全員、登山服・登山靴・トレッキングポール・リュックサックとフル装備だ。
「おはようございます。登山される方に健康チェックをさせていただいております。併せて富士山の保全にご協力をお願いします。」と第一声。体温測定・自己チェックと快く協力をいただいた。
ご両親と男女の子供3名。高校生と中学生の様子。父親が「初めてなんですけど、大丈夫でしょうか?」「山の天気なので何とも言えませんが、風が収まることもありますが、ここでもこんな風なので、六合目より上のほうは吹いていると思います。決して無理はなされないようにお願いします。装具は万全のようですし、ご家族皆さんで協力して頑張ってみてください」「はい頑張ります」と鳥居をくぐって登って行った。会話の中から、ご両親のリーダーシップと子供たちの信頼感が感じ取れて、すがすがしい気持ちの家族だ。
見送って四時間ほどした午前八時頃、その家族が下山してきた。
「風が強くて、途中で帰ってきました。頑張れませんでした]とお父さん。
「いや、よく頑張って帰ってきてくれました。大人のグループも風が強くて帰ってきています。お父さん良い判断でしたね! 山頂は次の機会にしましょう。富士山は逃げませんから」と激励するも子供たちの表情被元気がない。そこで、「これからどうされます?」と聞くと「まだ、何も・・・・とりあえず少し休んで・・・・」ここで中畑さん、「御殿場登山道には、7~8のハイキングコースがあります。とくに、二ツ塚~幕岩のコースは景観が素晴らしく、四時間くらいで散策できますよ。風の影響も少ないのでお薦めです」と説明すると、子供たちの顔に少し笑顔が戻ったような気がした。
「ありがとうございます。とりあえず、車に戻って少し休んでから家族で相談してみます」と家族は駐車場方向へ向かった。「子供たち 頑張ったね。次は山頂だよ」と背中に声をかけると、うなづく子・振り返り手を振る子・会釈をするお母さん、駐車場方向にきえた。「いい家族だね」「うん」
一番頑張ったのは、・・・・・・「おとうさん!」が 三人の答えでした。
日本のとうちゃん、「ガンバレ」