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#58 山ガール2022

 午後3時過ぎ、いつの間にか鳥居の横に若い女性が佇んでいる。鳥居・バス停周辺はバスを待つ下山者でいつもより混みあっているが、その若い女性の姿は、絵になるというか、草原に花咲く1本の向日葵のように見えた。全英オープンゴルフを制した女性プロゴルファーと遜色のない笑顔だ。そんなふうに思っていたら、自称準プロ写真家古沢さんが登場。素敵な被写体の香りを感じることができるのだろうか。早速撮影交渉を始め、鳥居の前で{カシャ・カシャ」、山頂が見える駐車場で「カシャ・カシャ」撮り終わると、「30分でプリントアウトをしてくるから30分待って」と、愛車のもとへ。困った様子の向日葵さんに「ここで待てば?」とイスを差し出す。ポツリ・ポツリと経歴を話しながらも、笑いを絶やさない。そんな向日葵さんに好感を持ったのだろう。本日勤務員紅一点の豊田さんが「私友達になりたい」と小声で私に囁く。そこで、向日葵さんに「友達になってください」と言うとキョトンとしている。「爺さんがなにを・・」と思ったのだろう。そこで「彼女が」と指をさす。納得した向日葵さんは「ええ喜んで」と二人で携帯を「カシャカシャ」ラインの完成だ。お友達になった二人が親交を深めているところに古沢さんがプリントアウトした写真をもって登場。プリントサイズはA4だ。アップで1枚、鳥居を背景に1枚。出来栄えは素晴らしい。と感心していると、
 
「保全金はここでいいですか?今朝早く登って保全金を払うことができなかったので」と立派な体躯の青年がやってきた。青年の眼を見て一瞬閃きが。
「君はシングルですか?交際している人は?」と矢継ぎ早に質問する。「いえ、彼女はいません」との返事に「君はこの娘とお付き合いしたらどうだ。お似合いだと思うが・・・」と向日葵さんを指差した。驚いている様子の青年を見て向日葵さんが「あら、たしか六合目からご一緒しましたよね?」と宣う。六合目から七合目にかけて一緒に登ったようだ。向日葵さんは強風のため、七合目で登頂を断念したようだが、青年は山頂まで踏破したとのことだ。「はい、素敵な方なので山頂まで登頂したら電話番号を聞こうと思っていました」という。あらあら、もうできてる。
「じゃあ、決まりだね、二人で連絡先を交換して仲良くやってください」と止めをさす。帰り際に古沢さんの撮ったプリントした写真を彼に見せる。「1枚だけ貰ったら」というと、迷うことなくアップの写真を選択した。「はい、はい、あとはお二人さんで仲良く」と送り出した。「また来ます」と言って向日葵さんと青年は仲良く話しながら駐車場方向へ消えた。似合いのカップルと思っているが、男と女はわからない。解っているのは、「人生の良し悪しはパートナーで決まる」ということだ。
 
山ガールと山男に幸せあれ!!

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