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#25 擬態
深夜勤務の人との引継ぎを終えて、午前3時50分にスタンバイ。今朝はやけに蛾が多い。体感温度は8℃というのに、風船照明の周りを乱舞するもの、力尽きて地面で羽根をバタバタさせながら這いまわるもの、すでに動かなくなったものなどでいっぱいだ。テントの中もびっしりだ。虫嫌いな鮎沢さんは、飛び寄る虫たちを相手に「キャーキャー」と喜こびながらテントの中を飛び回っている。そんな中、中畑さんが机の上の小枝に気づいた。形はTの字。縦横ともに2㎝くらい。手を近づけると突然飛んだ。
「えっ?」
そう、小枝に見えたのは「蛾の擬態」だった。テントの内側に止まった蛾を、白い紙に丁寧に移し、まじまじと観察したがどう見ても「小枝」だ。携帯で撮って拡大してみると、Tの先端に、か細い足がみえる。小枝に見えるのは、胴体と丸めた左右の羽根だ。 早速 孫に「これ なーんだ」とラインした。夜が明けて、風船照明の電源を切ると、飛び回っていた蛾・蝶?の多くは、木々の中へ吸い込まれていった。ようやく鮎沢さんも落ち着いた様子だ。擬態のすばらしさに感心したので、他にはいないか、とテントの周り、屋根の部分を見るといるいる。「枯葉の擬態?」を見つけた。どう見ても枯葉だ。
弱いものが、天敵から身を守るためにあみ出した「擬態」に感動を覚え、帰宅した午後
ネットで調べて観た。
よく似た言葉で「偽装」というのがある。調べてみると、
① ある事実・物事を覆い隠すために、他の物事・状況を装うこと。
② 事実とは異なるのにあたかもそれが本当であるかのように偽ること。
③ 軍事では、敵に発見されないようにするか、それが何かわからないようにする。
とある。「擬態」も「偽装」も身を守る手段だが、できれば正々堂々、清く正しく活きて行きたいですね。貴方 思い当たることはありませんか?
「はい、私はありません」